2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本現存朝鮮古刊本の調査とその語学的・書誌学的研究
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23520440
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
藤本 幸夫 麗澤大学, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (70093458)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 朝鮮文献学 / 中国文献学 / 日本文献学 / 木版 / 活字 / 出版文化 / 朝鮮語学 / 訓読 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は日本現存朝鮮本を日本各地の図書館や文庫、そして嘗て日本にあり、その後流失して現在は台湾故宮図書館・イギリス大英図書館に所蔵されている朝鮮本をも、現物を一一踏査確認しながら、45年にわたって調査・研究してきた。 日本には韓国・朝鮮で夙に失われた書籍が多く、しかも完全に保たれている。中国書で本国では既に失われ、朝鮮で刊行されて伝存する場合も多く、又日本には古代から多くの書籍が朝鮮から伝来している。従って朝鮮本の調査・研究は朝鮮学は固より、中国学や日本学の研究に寄与するところが大きく、その基本資料を学界に提供すべく努めてきた。既に日本現存朝鮮本の9割5分は調査を終えており、8年前に刊行した『日本現存朝鮮本研究 集部』に引き続き、来年初には「史部」刊行の予定である。 最終年度である本年度は、東洋文庫・尊経閣文庫・東京大学図書館・京都大学図書館・天理大学図書館の調査を実施した。東洋文庫では史部書の調査をほぼ終えることができた。 10世紀末遼僧行均撰『龍龕手鏡(鑑)』4巻は、元来仏書の音義書であるが、異体字が多く収録されているため、中国・朝鮮・日本で異体字辞書として重宝されてきた。元の遼刊本は失われ、高麗刊本(闕巻2)が最も原本の面影を保っているとされる。その高麗刊本は1929年京城帝国大学で影印出版されているが、現在は入手不可能で、その後の影印本は鮮明でないものが多い。そこで当人は闕巻を南宋版で補って影印に付し、本書に関する解題・朝鮮における本書の刊行の2論文を収録した。朝鮮朝では本書は2度刊行されているが、最初の刊本は韓国・朝鮮にはなく、日本には完本が2部、不完本が1部の、計3部が伝わっている。本書の影印刊行は学界に寄与するところ大きいと考える。 昨年は日・韓国交樹立50周年記念の年で、両国の協力で名古屋蓬左文庫所蔵朝鮮本を中心に展示会が開かれ、講演や図録などで協力した。
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Research Products
(5 results)