2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520445
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松家 裕子 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (20215396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 一郎 公益財団法人泉屋博古館, その他部局等, その他 (50027554)
磯部 祐子 富山大学, 人文学部, 教授 (00161696)
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Keywords | 中国文学 / 唱導文藝 / 宝巻 / 宣巻 / 紹興 / 金華 / 道情 / 婺劇 |
Research Abstract |
2013年度も、これまでと同様、中国近世以来の代表的唱導文藝であり、講唱文学(うたと語りによる文学、説唱文学とも)である「宝巻」とこれをうたい語る儀礼であり芸能でもある「宣巻」を中心に、浙江省紹興の「紹興宣巻」を主たる対象とし、調査・研究を行ない、3年目であることから、研究の成果をそれぞれにまとめ、冊子体の報告書を刊行した。 13年度の実地調査の特徴は、研究のまとめの年度であったので、これまで調査を行なった地点あるいは対象となる宣巻グループについて、再調査あるいは追加の調査を行なったことである。磯部は、2010年3月に調査を行なった紹興の銭清鎮新甸村を再訪、前回調査と異なる演目『双花宝巻』の宣巻を実地に見聞し、また全員が2012年9月に杭州で調査した紹興郊外安昌鎮の宣巻グループ、大和班をその地元に訪ね、『太平宝巻』全部の宣巻に接した。いずれの場所でも聞き取り調査をあわせて行ない、これまでの調査から生じたさまざまな疑問を解くことができた。『太平宝巻』の宣巻において、宝巻に孤魂(横死した人の霊)を慰める機能があることを確認できたことは、大きな収穫であった。 松家は、この『太平宝巻』を中心に、紹興の宣巻について4篇の報告を発表した。小南は、文献研究の立場から、初期宝巻のありかたを丁寧に解き明かし、宝巻の本質に迫った。磯部は、2011年度と12年度に行なった、同じ浙江省の金華における調査を踏まえ、当該地区の「婺劇」を清朝の宮廷演劇と比較対照して、その機能と性格を明らかにし、また現地の講唱文学である「金華道情」の現状を報告するとともに、方言を多く含み解読が容易ではないそのテキストの日本語訳を作成した。また要木(藤田)佳美さんが歴史学の立場から、研究協力者として調査・研究に参加され、報告書にも、1980年代の桐郷の商業にかかわる貴重な調査結果を寄せられた。
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Research Products
(12 results)