2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520456
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高垣 敏博 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00140070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
R・TINOCO Antonio 上智大学, 外国語学部, 教授 (80296889)
宮本 正美 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20131477)
上田 博人 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20114796)
福嶌 教隆 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (50102794)
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Keywords | 統語論 / 言語地理学 / 方言学 / パラメーター |
Research Abstract |
本研究はスペイン語の統語現象(叙法、代名詞、関係詞、冠詞、語順、ボイスなど)を地理的に多様性を見せる変異(バリエーション)の視点から分析し、新たな切り口を模索する研究であるといえる。これまで10年あまりの成果の蓄積はすでにさまざまな成果として公表されている(http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cueda/ varigrama/index.html)。上のような文法テーマについてもアンケート調査を、スペインおよびラテンアメリカの20をこえる地点(主として首都)で実施、その結果をデータベース化し、分析すると同時に数量化も行い、現象ごとにそのような変異が起こるパラメーターを探る試みを進めてきた。この10年間の継続的調査をスペイン10か所、ラテンアメリカ13か国15大学でのアンケート結果は本研究分担者(上田博人)のHP(上掲)に掲載すると同時に国際学会などで報告・発表を行ってきた。 今期は初年度の準備期間を経て、2年目はスペイン・サラマンカ大学にてアンケート調査、カリブ海のキューバおよびプエルトリコの各大学においてアンケートおよびフィールドによる状況調査、また米国ニューヨーク市立大学における国際学会にて成果の一部報告をした。また統語意味理論の専門家であるマドリード自治大学のエレナ・デ・ミゲル教授を招待し、分担者の勤める東京外国語大学、神戸市外国語大学、上智大学において打ち合わせを行い、講演も実施し、研究に新たな視点がもたらされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに継続10年をこえた本研究は、スペインの10都市(大学)およびラテンアメリカの中米などの数か国を除き、スペイン語圏の主要な国(首都)でのアンケート調査を網羅してきた。これらの地点においてスペイン語統語研究テーマを調べる100余りの質問に対し、平均20名のインフォーマントの回答を得ることができ、データベース化できつつある。その意味では、おおむね所期の目的を順調に達成しつつあるといってよいであろう。また分析方法も少しずつ改良し、文法研究の各テーマについて分担者が一定の成果をあげていると考える。 これまで主として社会・政治情勢などの理由によりアンケートを実施できていない未調査の首都が残っている。また、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの広大な国では首都のみの調査では十分といえない。今後はさらにこのような地点をできるだけ対象としてよりデータの精密化をはかっていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで順調に各調査地でアンケートを実施し、得られた回答を蓄積、HPや報告書で公開している。しかし残念ながら、上述のように、これまで主として社会・政治情勢などの理由(危険度が大きいなど)によりアンケートを実施できていない未調査の首都が残っている。そのような地域でもこれまで、十分安全が確保できる場合には実施してきた。今後できるかぎり、諸般の準備により安全確保できしだい、未調査地点を訪れ、スペイン語圏の首少なくとも都を網羅し、バリエーション研究に一定のめどをつけたいと考えている。 また同時に、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの広大な地理をもつ国では首都のみの調査では十分といえない。今後はさらにこのような地点をできるだけ対象としてカバーすることによりデータの精密化をはかっていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の主旨にしたがい、残余予算範囲内でできるだけ補完的調査を実施したい。それと同時にこれまでに得られた成果をもとに分析を進め、各文法研究において発表や報告をする。次年度10月には東京において、ラテンアメリカ言語学会の地域大会が開催予定で、本研究代表者および分担者のほとんどがこれを主宰、発表する予定である。本研究成果の報告・発表も中心的な課題となる見込みで、海外の研究者に周知する機会であるととらえている。最終的にはこの成果も含め、報告書としてまとめる予定である。
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Research Products
(11 results)