2012 Fiscal Year Research-status Report
ポーズ挿入に伴う調音調節の諸相:自発発話と読み上げ発話の体系的比較研究
Project/Area Number |
23520468
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
垣田 邦子 富山県立大学, 工学部, 教授 (10148827)
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Keywords | ポーズ / 自発発話 / 読み上げ発話 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自発発話におけるポーズ挿入とそれに伴う発話の調節の実態を解明し、その背後にある規則を明らかにすることである。具体的には、日本語話者による自発発話を音響分析し、読み上げ発話と対比させながら、ポーズ挿入に伴うセグメント長の変化などの発話調節の実態を明らかにし、その上で、現存の音声生成理論に照らしてポーズ産生規則を解明することを目標とする。 本年度は研究計画の2年目にあたり、「自発発話」の収録および分析を行った。自発発話の収録にあたっては、同一話者の読み上げ発話も合わせて収録し、個々の話者について異なる発話スタイルの比較を行った。その結果、自発発話におけるポーズ挿入とそれに伴う発話調節に関しては、話者に共通な特徴と話者固有の特徴の両方があることが明らかになった。自発発話における話者共通の特徴としては、(同一話者の読み上げに比べて)(1)発話区分が細かく(多く)なる、(2)1つの発話区分が短くなる、(3)挿入される文中ポーズが短くなる、などの点が顕著であった。一方、話者固有の特徴は、(1)文間ポーズの長さと(2)発話速度の2つの面に現れ、その場合に、文間ポーズが長くなる話者においては発話速度が速くなり、文間ポーズが短くなる話者においては発話速度が遅くなる傾向があることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究期間は3年間で、初年度および次年度には音声収録ならびに各種音響パラメータの計測・解析とその結果に関する検討を、そして最終年度には、音声生成理論と関連づけた統括的な考察を行う計画である。初年度に若干生じた遅れも、本年度で解消することができ、来年度は全体の考察とまとめに移れる状況である。 なお、これまでの成果の一部を、2012年5月に香港で開催された国際会議 "Acoustics 2012 Hong Kong" において発表した(S. Hiki and K. Kakita, "Properties of the duration of pauses in the recitation of a Japanese text," Proceedings of the Acoustics 2012 Hong Kong, Hong Kong, May 13-18, 2012.)。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本計画の最終年度となるので、これまでの分析結果に基づく充分な考察を充分に行い、成果を報告書にまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度にあたり、研究発表および研究成果報告書作成を中心に、書籍、文献複写、ソフトウエアなどに支出する予定である。 すでに、研究発表は、国際会議が2件決定している(6月2日~7日モントリオールにおいて ICA 2013(21st International Congress on Acoustics, 第21回国際音響学会議)、および6月17、18日シンガポールにおいて "L3 2013"(2nd Annual International Conference on Language, Literature & Linguistics, 第2回言語・文学・言語学国際会議)。
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