2013 Fiscal Year Annual Research Report
文頭における自立語化および文の外縁部の構造に関する研究
Project/Area Number |
23520469
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
那須 紀夫 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00347519)
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Keywords | 言語学 / 統語論 / 文頭 / カートグラフィー / 主節現象 |
Research Abstract |
平成25年度の研究の目標は、前年度までの作業を通して得られた結論をカートグラフィー研究の観点から整理・検証することであった。とりわけ、(1)文の語用論的機能を反映している外縁領域の句構造はどうあるべきか、(2)語用論的機能を言語化する方向で起こる言語変化がどの程度統語的メカニズムによって説明できるか、という問題に解答を与えるためのモデル構築を行うことが作業の中心となった。得られた結論は以下の通りである。 (1)について:節の外縁を構成するCP領域の外側には、発話の対人的機能を司る言語形式が生起する階層(発話行為句;Speech Act Phrase)が存在し、提題タイプの助詞残留はこの階層で起こる。一方、焦点タイプの助詞残留はより下位にある階層でも可能であるが、その場合には発話行為句の主要部となる機能範疇との局所的な呼応関係が必要となる。 (2)について:上述の発話行為句は統語構造の最外縁にあり、談話システムとの境界面を構成する階層である。この階層は話し手が聞き手に発話を伝達する様式を反映した語用論的な文法現象(助詞残留、終助詞など)を司っているが、これらの現象の出現のしかたは、呼応や局所性といった、文の他の階層にも見られる一般的な統語的メカニズムによって統御されている。 年度の後半には、今後の研究への橋渡しをすべく、付属語の自立語化現象をより広範な現象群(具体的には主節現象)の中に位置づけることを試みた。従来主節現象に該当するとされてきた話題化と助詞残留を比較し、主節現象が対人機能を司るタイプと話者による判断を司るタイプに分けられるという可能性を探った。
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