2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520472
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (00407644)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | トルコ語 / プロソディー / 音声 / トルコ語諸語 / トルクメン語 / イントネーション / アクセント |
Research Abstract |
「トルコ語のなぞなぞの音声分析」を公刊した。これは、トルコ語のなぞなぞを短いディスコースとし、音調変化がアクセントによるものかイントネーションによるものかを析出するために行なった。なぞなぞの韻文構造を利用し、韻律節という単位を仮定した。この韻律節に対して、急上昇調とポーズがある場合には大韻律節の区切り、急上昇調のみの場合は中韻律節の区切りであることが確認できた。大韻律節の区切りは自然下降調でも成立する。いわゆる文末調とはことなる実現形式を確認できた。また、上昇調と急上昇調には区別がある。上昇調は語声調あるいは句音調に対して実現するが、急上昇調は基本的には節の末尾に対して現れるという点で区別できるものであるということが確認できた。 『トルクメン語入門―キリル文字版―』を公刊した。日本では、日本語で書かれた入門書がなかったため、まずは本格的な研究に入る前に、入門レベルの概説書を書く必要がある。そこで、トルクメン語の概要を示すための同書を書いた。同書には単語集をつけており、また一部テキストについては録音データをとり、同書に付けた。 トルコ語においては上昇調の違いを明確に示すことができた点で、これまで「豊かな音声変化」と漠然と呼ばれていた現状に対し、分析的な結果を示すことができた点に意義がある。 トルクメン語においては、研究の下地ができたことこそ、重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコ語の韻律節に対して、これまで誰も提起しなかったイントネーションの分類ができた点で、一歩進んだと思われる。トルクメン語に対しては、日本語で書かれた辞書、文法書が整備されていない現状で、文法書および単語集がひとまず完成したということで、第一段階はクリアされたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
トルコ語のなぞなぞの記述はイントネーションだけでは不十分なので、構造的な記述も行ない、音声の並列処理が短いディスコースの中でどのように実現しているかを探る。トルクメン語については、単語集およびテキストの録音を増やしていき、音響音声学的分析に耐えられる質量をそろえることが喫緊の課題である。これらのことによって、トルコ語で検証したことがトルクメン語でどのように実現しているかを検証でき、トルコ諸語オグズ語群における規則、制約が見出せると思われる。また、『トルクメン語入門』は、トルクメニスタンでキリル文字からラテン文字に文字改訂が行なわれたので、ラテン文字版を刊行できるように再度テキストを見直す必要がある。キリル文字とラテン文字による発音の違いがあるか否かも検証課題となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は資料収集および録音時の謝礼、公刊のための原稿料が主な必要経費となる。また、データ入力を手伝ってもらう人への謝金も必要である。1人でやるとミスが出やすいので、複数人のチェックをしてもらうために必要となる。
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