2012 Fiscal Year Research-status Report
前提研究の新アプローチ:前提条件操作の限界事例からの検証
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23520475
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
首藤 佐智子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (90409574)
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Keywords | 語用論 / 前提 / 操作 / ポライトネス / フェイス威嚇 / 問題表現 |
Research Abstract |
2012年度は、前提操作を伴う表現に対するインターネット上の記述の探索を行った。「残念な」の新使用法が、本研究の対象とされる前提操作を伴うものと特定された。この新用法に関しては現段階では仮の分析を行い、研究成果として2013年3月に韓国ソウル市のKyung Hee Universityで開催された日韓言語情報ワークショップで「Zannen? How sorry are you? a politeness dilemma in manipulated usages」と題した口頭発表を行った。さらに、2013年9月に開催される日本認知科学会に向けて、研究成果の発表を申込み、現在査読結果を待っている状態である。 前年の2011年度に抽出された問題表現が少なかったので、分析対象を拡げるため、2012年度の前半は、問題表現だけではなく、一般的な表現を操作する例の分析を行った。この成果は、2012年12月に日本認知科学会第29回大会で、「名詞句連接の日韓対照研究-「NP1のNP2」と「NP1-ui NP2」の制約の相違と相対的頻度-」と題したポスターで発表した。また前提を操作する例として、司法分野における文書の例に関して、共著で語用論的分析を行い、その成果を法と言語学会機関誌に投稿し、現在査読結果を待っている状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展している部分と遅れている部分がある。2011年度に前提を操作していることが要因となっているような問題表現を新たに発掘できなかったため、2012年度では新用法の分析はあまり進まなかった。2012年度に新規に特定に至った「残念な」の新使用法に関する調査は出来る範囲で進め、分析も行ったが、これに関する調査は更なる時間を要し、分析を行う必要がある。一方、同種の問題表現だけではなく、一般的な表現を操作するケースの分析は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度も前提操作に関する調査・分析を継続するが、同時に研究成果の一部の発表を積極的に進めて行く予定である。2012年度に行ったインターネット上における探索では、前提を操作していることが要因となっているような問題表現として、「残念な」の新使用法が特定されたので、同表現に関する調査を継続する。2013年度も引き続き、前提を操作していることが要因となっているような問題表現に関する記述をインターネット上で探索する。また、問題表現だけではなく、一般的な表現を操作するケースの分析も積極的に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、前年度に引き続き、前提操作に関する調査・分析を行う。2013年8月に海外の協力研究者との打ち合わせや情報収集のため、訪米する予定である。予算が許せば、2014年2月か3月に海外で研究成果の発表を行う予定である。2013年9月に研究成果の発表を東京で行う予定である。また、12月に研究発表を行う計画を進めているが、査読を通過するかどうかは現時点では不明であり、海外における学会発表が実現された場合は、上記の海外研究者との討議はインターネットにおける電話会議等で代替することが可能であり、予算との調整を行う予定である。
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Research Products
(3 results)