2013 Fiscal Year Research-status Report
前提研究の新アプローチ:前提条件操作の限界事例からの検証
Project/Area Number |
23520475
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
首藤 佐智子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (90409574)
|
Keywords | 語用論 / 前提 / 操作 / ポライトネス / フェイス威嚇 / 問題表現 |
Research Abstract |
研究代表者は、2013年度は、前年度に引き続き、前提操作を伴う表現に対するインターネット上の記述に関する分析を行った。2012年度に「残念な」の近年の使用は話し手の主観的感情に関する制約を操作している問題表現の候補としたが、2013年度は「残念な」の新使用法に焦点を当て、インターネット上の記述をデータとして収集した。インターネット上のデータを補完するために、大学生を対象としたアンケートを実施した。 「残念な」の新用法に関して、2013年9月に玉川大学で開催された日本認知科学会第30回大会で、「残念な言語現象――ポライトネスの耐えられない矛盾」と題するポスター発表を行った。この発表内容は同学会発行の大会論文集に掲載されている。 「残念な」の新使用法において操作されている制約が話し手の主観的感情である点に着目し、同種の前提操作として「痛い」の新使用法についても分析を行った。 上記の発表の内容を発展させ、他の「問題表現」とポライトネスとの関連を分析した論文を2014年度に発行予定の『日本語語用論フォーラム』第1号に公表する予定である。また、語用論学会研究大会においても研究発表を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論的な研究の目的は達成されたと思う。問題とされている表現とポライトネスの関連を明らかにすることができた。しかしながら、研究成果の公表が遅れている。2011年度に前提を操作していることが要因となっているような問題表現を新たに発掘することができず、インターネット上のデータ収集がこれまでに同定された表現に関するものに留まり、限定されたものとなってしまった。この結果、2012年度と2013年度に予定していた分析の時期も少しずつ遅れた。最終年度であった2013年度に、予定していた研究発表の応募の締め切り(2013年8月)に間に合わず、発表は2014年度に先送りされた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、研究成果の発表を行う予定である。具体的には、他の「問題表現」とポライトネスとの関連を分析した論文を2014年度に発行予定の『日本語語用論フォーラム』第1号に公表する予定である。また12月の日本語用論学会での発表を計画している。応募の締め切りは2014年8月であるので、それまでに論文の執筆を完了させる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2011年度に問題表現としてインターネット上で言及された事例が少なく、データの収集が遅れた。これに伴い、2012年度と2013年度の分析が少しずつ遅れ、研究成果の発表に遅れが出た。当初予定していた日本語用論学会の発表申し込みの2013年8月の時点では、分析が不十分であったため、応募にいたらなかった。これは2013年9月に日本認知科学会で発表を行ったため、語用論学会で発表するとすれば、認知科学会で発表していない内容を発表する必要があったためである。このことにより、日本語用論学会研究大会には参加しなかったため、未使用額が発生した。 2013年7月以降の分析を反映する研究発表を行うために未使用額を使用する予定である。具体的には、日本語用論学会の研究大会が2014年12月に関西で開催される予定であるので、そのための国内旅費に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)