2013 Fiscal Year Annual Research Report
機能範疇の働きと(ミクロ)パラメターに関する日韓対照研究
Project/Area Number |
23520476
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
青柳 宏 南山大学, 人文学部, 教授 (60212388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 祐二 金城学院大学, 文学部, 教授 (40286604)
杉崎 鉱司 三重大学, 人文学部, 教授 (60362331)
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Keywords | 機能範疇 / (ミクロ)パラメター / 日本語 / 韓国語 / 複合動詞 / 分裂文 / 項削除 / 言語獲得 |
Research Abstract |
課題A(青柳担当)では、日韓語の複合動詞について研究を進めた。日本語では前項、後項ともに動詞語幹が直接結合した、語彙的複合動詞が生産的であるが、韓国語の複合動詞には語幹同士が直接結合したものは希で、間に結合母音-eが介在する統語的複合動詞がより生産的である。この事実を日本語においては範疇決定前の語根(root)同士の併合したものが動詞化される((√1+√2)+v)のに対し、韓国語においてはまず語根が動詞化素vと併合したのちにさらに併合する((√1+v)+(√2+v))からだとの結論を得た。従って、影山(1993)が提案した語彙的複合動詞の「他動性一致原則」はこの分析の帰結に過ぎないことが示された。 課題B(高野担当)では、日本語分裂文に見られる制約のうち、特に焦点要素が主格を持つと容認度が落ちるという「主格制約」に焦点を当てて研究した。主格制約にはいくつか例外があることが報告されているが、従来指摘されてこなかった例外を新たに発見し、最新の句構造理論の観点からその分析を試みた。さらに、主格制約の観点から日本語と韓国語を比較し、両者のミクロパラメター設定に興味深い違いが存在することを明らかにした。 課題C(杉崎担当)では、日韓両語に特徴的である項削除に焦点を当て、これらを司るパラメータと機能範疇との関連について、日本語獲得の観点からさらに考察を深めた。項削除は、機能範疇が「一致」を引き起こさない言語でのみ可能であるという仮説に言語獲得からのさらなる支持を与えるため、日本語を母語とする3~4歳児を対象とした新たな実験調査を実施し、彼らが持つ知識が実際に項削除であって、ヘブライ語などに見られる動詞句削除ではないことを明らかにした。 これらの研究成果を公表するために、2013年12月7日三重大学でワークショップを開催し、われわれ3名と韓国ソウル大学から招聘した2名が研究発表を行い、さらに参加者も含めて意見交換を行った。
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Research Products
(12 results)