2011 Fiscal Year Research-status Report
感覚語彙の歴史的変化における構文と意味の相互関係:認知類型論的コーパス対照研究
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23520477
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
進藤 三佳 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (60593514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在鎬 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20450695)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / スウェーデン / 認知言語学 / 対照言語学 / コーパス言語学 / 意味変化 / 文法化 / 構文文法 |
Research Abstract |
本研究課題の研究代表者は、2011年度は主に次の3つの方向に研究を進め、それぞれ成果実績を挙げた。1. 日本語と英語の歴史的コーパスから大量にデータを入手し検証を行なうことによって、通時的な統語構造の変化と意味の変遷の関係を、言語を越えて統合的に分析した。この分析結果は、2011年7月にThe International Conference on Historical Linguistics (第20回国際歴史言語学会)において、発表した。アメリカ アリゾナ州立大学のElly van Gelderen教授とデンマーク ロスキルデ大学のEva Skafte Jensen教授より、データの理論的解釈に関する貴重な御意見をいただき、更なる研究の進展へとつなげた。2. 前年に提出した温度表現に関する原稿に対して、本課題の研究協力者であるKoptjevskaya Tamm教授から2011年12月に多くの貴重な指摘を含んだレビューを受け取った。研究代表者は、データの取り直し、原稿の大幅なる書き直しを行い、2012年3月に改訂原稿を提出した。広く20以上もの言語における温度に関する論文を収録した本として、John Benjaminsから2012年度にも出版予定である。3. 現代英語の形容詞の意味の差異を分析するシステムを2005年に提案した。この分析手法の特許の申請を2005年7月に国内(「単語用法差異情報取得プログラム及び同装置」)、2006年7月に海外("Word Usage Analyzer.")において行なっていたが、2011年8月に、相次いで特許取得が実現した(登録済特許 第4803709号、登録済国際特許 Patent No.: US8010342 B2)。これにより、本研究課題にも挙げていたこの方策が、国内のみならず国際的にも有用であることが、公に認められたものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 本研究課題の研究代表者は、申請時の研究目的として、(1)各テキスト・作家・時代を越えて、言語の変遷を通時的に分析すること、(2)意味分析と統語分析を、個別に独立したものとみなさず、双方があいまって内容を伝達する様を分析すること、(3)多数の言語を分析し比較することによって、民族・文化・言語構造による差異を見出すこと、を挙げていた。さらに、2011年度の研究計画として、「日本語と英語の視覚形容詞の通時的比較:英語、日本語の現代コーパス、歴史的コーパスにおいて、視覚形容詞の出現データを収集し、その意味と統語情報の関係を分析する」としていた。この視覚形容詞については、今年度データ収集、分析を行い、2011年7月の国際歴史言語学会において発表し、国際的に大きく活躍している研究者より良い反応をいただくことによって、次の研究ステップへとつなげることができた。2. 本研究課題の研究代表者は、研究申請時に「研究期間内に明らかにしようとしていること」について、「触覚と視覚は、人間の五感の発達において、始点と終点に位置し、言語による差異が特に顕著に見られる感覚であるので、特にこれに焦点を当てる」としていた。触覚、その代表である温度感覚について、統語構造の違う多数の言語間の比較を目的とする研究を、研究代表者は2005年頃より、本課題の研究協力者であるストックホルム大学(スウェーデン)のMaria Koptjevskaja-Tamm教授と行なってきた。2010年3月に本教授主催のワークショップ"Temperature in Language and Cognition."において研究発表し、現在多数の言語における温度表現に関する論文を収録した論文集の出版を本教授の編集において進めている。これに関し、2011年度において、研究協力者と緊密に連絡を取り合い、一段と研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 視覚形容詞の分析について、2011年度に発表した国際学会でいただいた意見を盛り込み、さらにデータを収集、理論的説明付けを行なっていく。この結果を2012年7月に行なわれる歴史言語学の国際学会New Reflections on Grammaticalization 5 (NRG5, Edinburgh, UK)において研究発表し、広く国際的に認められる研究へと展開していく。研究協力者のElizabeth C. Traugott教授 (Stanford, USA)とさらに連絡を密に取り合い、前回のNRG4 (2008; Leuven, Belgium)で出した成果をも包含する形で、文法化研究に貢献するプロジェクトに推進していく。2. 触覚形容詞、温度形容詞の分析については、研究協力者Maria Koptjevskaya Tamm教授 (Stockholm, Sweden)とデータ分析、原稿改訂に関してさらに協議し、対照言語学的な研究として、国際的に認められるものへと推進していく。3. 研究申請時に立てた2012年度の研究計画「日本語と英語の触覚、味覚、臭覚、聴覚、次元に関わる形容詞の通時的比較:英語、日本語の現代コーパス、歴史コーパスにおいて、触覚、味覚、臭覚、聴覚、次元に関わる形容詞の出現データを収集し、その意味と統語情報の関係を分析する」に基づき、コーパスの購入、データ収集、分析を進め、さらに国際的に発信できる研究へと推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 2011年度に開催される予定であった国際学会が、学会側の都合により2012年度に延期され、その学会での研究発表・参加を行なうため、繰り越した金額で支出を予定している。また、2012年度において、各国内学会・研究会での研究発表・参加、さらに少なくとも2件以上の国際学会での研究発表・参加になるため、国内・海外ともに旅費の支出を計画している。2. 視覚・触覚にとどまらず更なる感覚領域のデータを収集するため、コンピューター等の整備、コーパスの購入、また、データ分析への人件費支出を計画している。
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Research Products
(4 results)