2012 Fiscal Year Research-status Report
感覚語彙の歴史的変化における構文と意味の相互関係:認知類型論的コーパス対照研究
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23520477
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
進藤 三佳 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (60593514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在鎬 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20450695)
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Keywords | 国際情報交換 / スウェーデン / 認知言語学 / 対照言語学 / コーパス言語学 / 意味変化 / 文法化 / 構文文法 |
Research Abstract |
本研究課題の研究代表者は、2012年度は主に次の2つの方向に研究を進め、それぞれ成果実績を挙げた。 1. 前年度に引き続き、通時的な統語構造の変化と意味の変遷の関係を、言語を越えて統合的に分析した。この分析結果は、2012年7月に国際学会 New Reflections on Grammaticalization 5 (NRG5)(Edinburgh, UK)において、発表した。聴衆からデータの理論的解釈に関する貴重な御意見をいただき、更なる研究の進展へとつなげた。 2. 編者であるKoptjevskaya-Tamm教授(本課題の研究協力者)から、前年度にレビューを受けた温度表現に関する原稿は、さらに2人の外部査読者に提出され、研究代表者はその結果を2012年12月に受け取った。いずれの判定も "ACCEPT with SOME REVISIONS"というものであったが、それぞれ35ページ、4ページにわたる大量の、しかし大変貴重な指摘を含んだレビューであった。それに従い、研究代表者は、更なる参考文献の収集、読解、原稿の大幅なる書き直し、英文チェック、出版社のガイドラインに沿った原稿スタイルの変更を行い、2013年3月に最終改訂原稿を提出した。広く20以上もの言語における温度に関する論文を収録した本として、John Benjaminsから2013年度にも出版予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 本研究課題の研究代表者は、申請時の研究目的として、①各テキスト・作家・時代を越えて、言語の変遷を通時的に分析すること、②意味分析と統語分析を、個別に独立したものとみなさず、双方があいまって内容を伝達する様を分析すること、③多数の言語を分析し比較することによって、民族・文化・言語構造による差異を見出すこと、を挙げていた。2012年度は、前年度に引き続き、英語・日本語の現代コーパス、歴史的コーパスにおいて、視覚形容詞の出現データを収集し、その意味と統語情報の関係を分析し、国際学会において発表することができた。 2. 本研究課題の研究協力者であるストックホルム大学(スウェーデン)のMaria Koptjevskaja-Tamm教授は、触覚、その代表である温度感覚について、統語構造の違う多数の言語間の比較を示す論文集を、自ら編者となり、John Benjaminsから出版予定である。 研究代表者は、その論文集に掲載するべく論文を提出していたが、今年度に外部査読を終え、一部書き直し条件付きで採択され、2012年3月に最終原稿を提出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 視覚形容詞の分析について、2012年度に発表した国際学会でいただいた意見を盛り込み、さらにデータを収集、理論的説明付けを行っていく。この結果を2013年6月に行われる認知言語学の国際学会International Cognitive Linguistics Conference 12 (ICLC-12)において研究発表し、広く国際的に認められる研究へと展開していく。 2. 触覚形容詞、温度形容詞の分析については、研究協力者Maria Koptjevskaya-Tamm教授 (Stockholm, Sweden)と更なるデータ分析、理論分析を原稿改訂に関してさらに協議し、対照言語学的な研究として、国際的に認められるものへと推進していく。 3. 研究申請時に立てた2013年度の研究計画に基づき、データ収集、分析を進め、さらに国際的に発信できる研究へと推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 2013年6月にカナダで開催される国際学会に参加し研究発表をするため、また、各国内学会・研究会での研究発表・参加を行うため、国内・海外ともに旅費の支出を計画している。 2. 視覚・触覚にとどまらず更なる感覚領域のデータを収集するため、コンピューター等の整備、また、データ分析への人件費支出を計画している。
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Research Products
(3 results)