2013 Fiscal Year Annual Research Report
ユカタン・マヤ語復興活動における言語学的知見の実践と応用
Project/Area Number |
23520485
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 栄人 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10240285)
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Keywords | マヤ語文法 / マヤ語教育 |
Research Abstract |
最終年度の平成25年には前年度までに作成し、さらに見直しを進めてきたGuia gramatical de la lengua maya yucateca para hispanohablantes(スペイン語話者のためのユカタン・マヤ語文法解説書)の印刷媒体を作成し、メキシコ・ユカタン州およびキンタナ・ロー州の教育機関等に配布した。また、ユカタン州バジャドリー市の東部大学、キンタナ・ロー州チェトゥマル市のキンタナ・ロー大学、同州ホセ・マリア・モレロス市のマヤ・インターカルチュラル・キンタナ・ロー大学のマヤ語の受講者を対象として同解説書作成の経緯や目的等について講演を行った。 また、マヤ・インターカルチュラル・キンタナ・ロー大学からAngel Ucan研究員を日本に招聘し、同解説書を実際のマヤ語教育に活用するための検討を行った。さらには、実際の授業実践の中での文法教育のあり方を検討するため、京都外国語大学において日本人を対象とするマヤ語の集中講座を実施した。 本研究は言語学者によるマヤ語の研究とマヤ語の教育現場には文法的知識に関して大きな乖離が存在することから、その橋渡しとなるような、教育者あるいは学習者向けの文法解説書を作成することを主たる目的とした。ユカタン・マヤ語の教育では従来スペイン語の文法をモデルとしてきた。本研究では、現代言語学の知見に基づき、スペイン語の文法モデル、特に時制を基本とした動詞の説明を廃止した。時制という先入観を取り除き、むしろ、動詞の変化とその統語的な配置がどのような意味を生み出すのかという観点から文法規則を組み立てた。こうした文法解説がマヤ語の学習者にとって便利あるいは効率的であるかについては今後の多くの学習者から意見を聞く必要があるが、マヤ語の教育に携わる教員からは驚きと称賛をもって受け止められたことは一つの成果だったと言えよう。
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Research Products
(3 results)