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2011 Fiscal Year Research-status Report

ムンダ語のクレオール化メカニズムに見る,言語構造の歴史的変化に関する類型論的考察

Research Project

Project/Area Number 23520488
Research InstitutionIbaraki University

Principal Investigator

藤井 文男  茨城大学, 人文学部, 教授 (40181317)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords言語の類型 / 言語の系統 / 言語の歴史的変化 / 言語接触 / クレオール化
Research Abstract

本研究に於ける活動実態の中核となる現地調査の目的は,これまでの蓄積してきた現代ムンダ語の構造的根幹を成す文法体系の実態を明らかにするためのデータに残った欠落部分の補完作業完遂にある。研究者による最近の研究以外でも,「談話機能」のような伝統的な統辞論を越える語用論的視点を十分に考慮した記述・データはムンダ諸語に関してはほぼ皆無に等しかったからである。 本研究初年度となる2011年度は三週間ほどの現地調査を実施し,これまでの研究では言語学的解釈のできなかった,ムンダ語の様々な表現形式の文法構造を明らかにすべく,主に Object Agreement 関連のデータを収集した。そうしたデータを分析した結果,"文法的一致"という,一般には形式的な言語現象と理解されながらも,こうした形態的特質は「談話機能」と深く結びついていることが窺えるようになった。そしてその一部は既に,紀要論文の形で公開するところとなっている。 いちばんの収穫は,これまでは単に「目的語との文法的一致」と形式的に一括されてきた現象も実質的には目的語の(意味論的)属性により構造的な細分化か為されていることが究明できた点にある。単純な言い方をすれば「間接目的語と直接目的語は一致現象に於いて構造的に区分される」ということだが,両目的語は動詞語彙の意味組成に連動していて,動詞の形態的特性や統語論的なマーキングには全く現われないながらも,動詞語彙を構成するいわゆる「意味素」の理論的存在が一致現象を厳格に統御している実態が明確な形で浮き彫りとなった。 こうした成果は,ムンダ語の文法構造の解明こ焦点を当ててきたこれまで研究から「語彙構造」の究明への移行を模索する平成24年度を迎えるに当たり,極めて好条件をもたらすところとなった。この実績を,更に同系言語との比較研究へと拡張するための基盤作りを目指す二年目へと有機的に繋げたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の実質的中核を為す,前研究を含めて現代ムンダ語ナグリ方言に対するフィールドワークを繰り返した結果,目指していたデータ収集にかなりの進展があったことが,データを分析して導く認識から新たなデータの文法性を予測・解釈するに当たってその精度・適切性が飛躍的な高まりを見せていることから明らかになってきた。 この言語の全体像を明らかにするところまでは当然,まだいってはいないが,文法構造の骨格を明らかにすることなく徒に多くの語彙を収集しても混乱が増すだけなのは従来の研究からも明らかなので,本研究一年目としては当初の研究目的をおおむね順調に達成していると判断する。

Strategy for Future Research Activity

上述した昨年度の研究成果により,ムンダ語の文法構造とその機能の仕方の大枠が明らかになったことを受け,平成24年度の研究では主に当言語の語彙構造の解明に焦点が移ることとなる。一次データ収集のためのフィールドワークが中核となるのはこれまでと同じだが,今年度は前期がサバティカルであることを活用し,五月の半ばにはインド・ジャールカンド州の州都 Ranchi を訪れて実質的な語彙データの収集を開始したい。 これまでのフィールドワークでは現代ムンダ語の,主として文法構造の解明に焦点を当てていたことから,十分な語彙データの収集は若干,遅れていた。この言語の形態的複雑さが主な理由だが,今年度前期にはこの遅れを取り戻すための弾みを付けておきたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度前期,研究者は学内業務から開放されるサバティカルに入ることとなっており,既存文献の整理等に費やす時間が確保できることが期待できるため,平成23年度中には遅れていた図書購入に対して基金からの支出を計画している。 また,今後の調査活動は現代ムンダ語ナグリ方言の語彙データの収集が中心となるためにこれまで以上にフィールドワーク充てる時間を確保することが求められることから,平成24年度は合計3回程度の現地調査が必要となり,経費の大半は出張旅費に充てることとなる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] "Transitivity" とは何か? ──ムンダ語に於ける自動詞 vs.他動詞の弁別性に見る「文法範疇の概念」とその体系性──2012

    • Author(s)
      藤井 文男
    • Journal Title

      人文コミュニケーション学科論集

      Volume: Vol. 12 Pages: 63-85

  • [Remarks]

    • URL

      http://ir.lib.ibaraki.ac.jp/handle/10109/81

URL: 

Published: 2013-07-10  

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