2013 Fiscal Year Research-status Report
イテリメン語の語彙データベース構築と比較研究ー系統・接触関係の解明に向けてー
Project/Area Number |
23520493
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小野 智香子 千葉大学, 人文社会科学研究科, 特任研究員 (50466728)
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Keywords | イテリメン語 / チュクチ・カムチャツカ諸語 / 語彙データベース / 系統関係 / 言語接触 / 方言比較研究 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き、これまでに収集した語彙データの整理、辞書などの既存の出版物におけるイテリメン語資料の電子化を進めた。 1.これまでに収集した語彙データの整理と分析:古いワープロソフト、表計算ソフトなど、フォント・文字コードやフォーマットの異なる語彙データをUnicodeでエンコーディングし、データベースソフトウェアを使用してデータの統合を継続した。今年度新たに入手した出版済みイテリメン語テキスト(キリル文字ベース)の電子化を開始し、新規語彙のデータベースへの登録を行った。 2.カムチャツカ半島(ロシア)におけるイテリメン語のフィールド調査を実施し、延べ45時間分の言語音声録音資料を得た。またイテリメン語話者に対する詳細な語彙調査を実施した。 3.前年度に引き続き、語彙データベースに付属する音声データの分析を行った。過去のフィールド調査により得られたイテリメン語の録音データをデジタル化し、語彙データベースに使用可能な形式への加工を開始した。20時間分の録音から語彙および例文の音声データ(WAV形式)の加工と整理を行った。語彙データベースへ音声データを統合するためのデータベース構造を策定し、各語彙ごとおよび例文ごとの音声データのクリッピングを行った。また音声データを使用して、話者個人、年代、方言による発音の違いを分析した。南北方言による語彙の違いやコリャーク語、ロシア語などからの借用の状況についての考察を行った。 4.ロシア科学アカデミー言語学研究所で収集した1930年代~1970年代のイテリメン語の手書き資料の分析を継続した。分析のためにFLExというソフトウェアを使用し、FLExを使用した語彙データベースの構築に関する論文を発表した(小野, 吉岡 2013)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はイテリメン語語彙データベースのシステム構築がほぼ完了し、データベースへの語彙の登録および語彙データベースに関連づける音声データの整理と加工が進み、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
語彙データベースへの文字と音声の登録を完成させ、公開のための準備を行う。またイテリメン語南北方言を比較するための資料としてのデータベースを充実させ、方言による語彙の共通点・相違点とその理由を詳細に分析し、研究成果を発表する。 語彙データベースをウェブサイトでの公開やDVD等その他の媒体による配布のため、今年度の経費の一部を次年度に充当することとした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はデータベースへの語彙の入力および音声データの電子化とデータベース登録のための加工(クリッピング)のための謝金を経費として計上し順調に進展した。次年度にこれをウェブサイトで研究成果として公開する予定のため、公開にかかる作業の謝金および業者への委託分としての経費を計上することとした。 本年度フィールド調査において新たに収集した語彙データの入力と音声データの加工を完了して語彙データベースを完成させ、平成25年度に使用予定であった研究費の一部をウェブサイト等にて成果公開するための費用に充当する。 (1) 物品費 50,000円 言語学・チュクチカムチャツカ諸語等に関する文献、消耗品等;(2 ) 旅費 600,000円 ロシア調査旅費、学会・研究会参加旅費等;(3) 人件費・謝金 200,000円(うち平成25年度未使用分 100,000円);(4) その他 368,350円 翻訳・校閲費、複写費.ホームページ作成費等(うち平成25年度 218,350円)
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