2014 Fiscal Year Annual Research Report
フランス語コピュラ文の解釈と属詞の冠詞の有無に関する研究
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23520495
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂原 茂 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40153902)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | コピュラ文 / 属詞 / 冠詞の有無 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランス語の冠詞システムは,日本人にとってだけでなく,母語話者であるフランス人にとっても難しい.本研究の目的は,1) 名詞句の限定表現全体の中での冠詞の役割分担,2) 冠詞システム全体の中での定冠詞・不定冠詞・無冠詞の役割分担,3) 属詞の意味機能を決定するコピュラ文の意味論,の3つを視野に入れ,属詞位置での冠詞使用の総合的理論を構築することであった. 目的(1)と(2) については,筆者は,「日仏名詞限定表現の対照研究」(平成18-20年度科学研究費補助金一般研究(C))において,フランス語定冠詞名詞句と日本語裸名詞の用法の類似性が,両言語の名詞句限定表現全体とその体系内部における機能分担の視点から説明できることを示した.この研究の延長として,本研究は目的(3)を集中的に研究した.すなわちコピュラ文の属詞の位置での冠詞のある・なしによる意味の違いを,広範なデータ収集にもとづく詳細な記述を行い,説明力のある冠詞の意味論を構築した.最終年度である今年度は,研究対象を文学作品にまで広げ,Louis-Ferdinand Celine: Guignol's Band II における,Je suis de feu! ... Je suis lumiere! ...Je suis miracle!のような無冠詞属詞の用例を研究し,コピュラ文の属詞での冠詞使用が,一般的に受け入れられている理論より遙かに複雑な意味の差異を引き起こすことを実証した.
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Research Products
(1 results)