2012 Fiscal Year Research-status Report
ヴァレンス拡大とその形態統語論的実現に関する日・英・独語間の語彙意味論的比較研究
Project/Area Number |
23520497
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藤縄 康弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60253291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 志奈子 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90324839)
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Keywords | 言語学 / 語彙意味論 / 日本語 / 英語 / ドイツ語 / 所有 / 与格 |
Research Abstract |
本研究課題は,日本語(基本語順SOV,対格・与格の区別あり,主語の表示義務なし),英語(基本語順SVO,対格・与格の区別なし,主語の表示義務あり),ドイツ語(基本語順SOV,対格・与格の区別あり,主語の表示義務あり)という相互に部分的に共通する形態・統語論的性質を備えた3つの言語の研究において従来,個別言語研究の枠内でばらばらに取り上げられてきた諸構文のうちから,「ヴァレンス拡大」という観点で相互に比較可能なものを洗い出し,その背後にある意味論的基盤,および言語ごとに異なる形態・統語論的実現のメカニズムを探ることを目的としている。具体的には日本語の統語的使役構文,間接受動構文,二重主語構文,英語の使役構文(使役動詞:make, let, have, get, cause),およびドイツ語のlassen使役構文,bekommen受動構文,「自由な」与格構文等を対象とする。 研究2年目の平成24年度は,日本語多重主語文とドイツ語与格構文,および英語HAVE使役・受動とドイツ語与格構文・lassen使役構文を取り上げ,これらヴァレンス拡大操作の背後に「イベントの所有」という述語関係が基盤として見い出せることを確認した。さらに,この基盤の上で言語による発現形態の異なりをもたらすものとして,アスペクトの重要性を見通すに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来,個別言語研究の枠内でばらばらに取り上げられてきたヴァレンス拡張構文の背後にある意味論的基盤と言語ごとに異なる形態・統語論的実現のメカニズムをパラメーター化するための材料を揃えることができた。 また,これまでの研究成果を披露し,建設的な批判を仰ぐ場所として,2013年度,日本独文学会春季研究発表会でシンポジウムを開催することを許可された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者と研究分担者にゲストスピーカーを加えたかたちのシンポジウム「変容する『ヴァレンツ』― 文法論と辞書論の接点を求めて」(2013年5月,日本独文学会)を開催し,これまでの成果を仮設として披露する場とする。このシンポジウムで得られた成果は夏にかけて再吟味し,必要な修正を行うとともに,追加の調査も行い,より確固としたテーゼに仕上げていく。 この作業と並行しながら,日本独文学会 Linguisten-Seminar,Morphology and Lexicon Forum (MLF),日本言語学会,日本英語学会,ドイツ言語学会,イギリス言語学会等,国内外の学会・研究会に個人または共同で応募し,成果発表を行うことに努める。さらに共著論文を欧文で執筆し,しかるべき学会誌への投稿を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シンポジウムに向けた準備会合,およびシンポジウム本体開催のため,その他,成果発表のために旅費を計上する。 追加の検証調査を行うための物品費を計上する。 欧文論文校閲費を計上する。
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Research Products
(7 results)