2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520498
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
島田 めぐみ 東京学芸大学, 留学生センター, 教授 (50302906)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ハワイ / 日系人 / 日本語 / 英語 / ハワイクレオール / ハワイ語 / 言語切換え / 国際情報交流 |
Research Abstract |
米国ハワイ州ヒロ市において、平成23年9月に日系2世4名から、発話データを収集した。既に採取していたデータとあわせ、その中から約15時間分の文字化作業を行い、分析を行った。 今年度分析を行ったのは、日系2世2名の発話である。「日系人同士の会話」と「日系人と日本人の会話」別に分析を行い、それぞれの特徴を分析した。その結果、1)「日系人同士」の会話では文単位の切替えが多く、英語文と日本語文が頻繁に切り替わる、2)「日系人同士の会話」では、日本語に英語の語を借用するという語レベルの切替えが多い、3)日本語文における英語語句は、名詞、感動詞、接続詞、代名詞などが多い、4)英語文における日本語の使用は、終助詞、副詞、名詞が比較的多い、5)「日系人同士の会話」では、日本語か英語か容易に判断できない文(混交文)が多く観察された。5)については、たとえば「近いな思ったら、I stay bang him.」のように主節が英語、従属節が日本語という構成の文が大半であった。 平成24年3月、再度ヒロにおいて、上記文字化作業および分析過程において解明できない箇所について、日系人2世とハワイ大学ヒロ校本田正文准教授にインタビューを行い、追跡調査を行った。また、日系2世6名より新たな発話データを得た。 ハワイ日系2世の言語切換えの実態は、今まで詳細に研究されておらず、また、高齢化が進み、データ収集が年々難しくなっている。その中で、80歳以上の日系人10人から発話データを得られたことは、ハワイ日系人の日本語使用の実態を解明する上で非常に意義深い。分析結果(ハワイ日系人による言語切替えの実態)は、平成23年11月に「東アジア日本語教育・日本文化研究学会2011年度国際学術発表大会」にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、1)ハワイにおける発話データの収集、2)発話データのテキスト化、3)データの分析を行うことであった。 1)については、ハワイ州ヒロ市において2回の実地調査を行った。日系人約10名から発話データを得ることができ、当初の目標を達成できた。 2)については、既に収集していたデータと本年度収集したデータの文字化作業を行った。日本語、英語、ハワイクレオール、ハワイ語が混在しているため、容易な作業ではなく、多くの時間を要した。3月のハワイにて追跡調査を行うなどして、約15時間分のデータの文字化を完成させた。完成できたデータは、当初の予定を下回ったが、完成度の高い文字化データを作成することができ、ほぼ順調に進んだと言える。 3)テキスト化されたデータの分析を行い、「日系人同士」の会話と「日本人と日系人」の会話の間の違いを中心に考察した。ハワイ日系人の発話について、「日系人同士」の会話と「日本人と日系人」の会話の間の違いや混交文の特徴をはじめて明らかにすることができた。また、この分析結果は、11月の学会にて発表し、論文の投稿も行った。 上記の理由により、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に収集したデータのテキスト化を進める。聞き取りの難しい部分は、9月にハワイにて、日系2世の協力者、研究協力者であるハワイ大学ヒロ校本田正文准教授などの協力を得る。本年度は30時間程度のデータの文字化を完成させる予定である。 23年度の分析は日系2世2名のデータに関するものであった。24年度は、その結果を検証するため、話題、話者、会話参加者が異なるデータの分析を行う。分析結果は、学会にて発表する予定である。 さらに、9月にハワイにて新たなデータを収集する。今後データの収集が難しくなることが予想できるため、できるだけ多くのデータを収集する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ハワイにおける調査(2週間)のために旅費400,000円を使用する。文字化作業と専門的知識供与の謝金に75,000円、関連書籍購入に25,000円を使用する予定である。
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