2011 Fiscal Year Research-status Report
近現代の漢語動詞の演変分化による機能構文の構造発展と機能義変容に関する通時的研究
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23520499
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤田 益子 新潟大学, 企画戦略本部, 准教授 (10284621)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 虚化 / 動詞 / 介詞 / 特殊構文 / 機能義 |
Research Abstract |
最終的に、近現代の漢語動詞の演変分化による機能構文の構造発展と機能義変容に関する通時的研究を行うことが目標である。その研究過程として、平成23年度は、第一段階として「虚化による介詞への進展」について研究を進めた。手順と方法は、次のとおりである。 今年度は、漢語動詞の介詞への推移と特殊構文を構成する機能の展開を調査整理することを目標とした。介詞へ移行する動詞の性質には、「所在、起点、方向、関連、到達、距離、経由、原因、目的、代替、用具、処置、依拠、除外、共同、比較、包括強調、処置」等が挙げられるが、介詞全体の問題は範囲が広く、相対的な概略として馬貝加著『近代漢語介詞』等の先行研究が存在することから、介詞全体の変遷傾向を整理した後、特に第三段階の処置、致使を表す機能構文や、第四段階のヴォイスを表す機能構文に関わる虚化に焦点を絞り通時的変遷について調査を進めた。 その結果、機能構文に関わる動詞として、次のような意味と語彙に焦点を絞ってデータ収集を行った。(1)対象を表す介詞で接受者を導く"把、給、與、於、為、似、以、用、著、拿、捉"等。(2)授与者(被害など悪影響を与えるものも含む)を導く"於、為、被、著、與、吃(乞)、教(叫・交)"。(3)方法を表す"把、將、拿、捉、以、用、因、著、似"(4)原因を表す"由、以、為、被、用、因、吃、著"等を研究分析の対象とする。 また、資料としては、唐代以降の時代毎の代表的な白話資料を対象とした。更に、使用方言のバランスを考慮しつつ、清代以降は満州語の影響も考慮し代表的な会話書『清文指要』、『清文啓蒙』なども研究対象とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象の語彙データについては、おおむね収集しつつある。しかし、対象とする資料、特に国内外の図書館などで行うべき版本の比較対照などが行えていないことから、次年度以降、該当する資料を所有する各機関において、積極的に基礎資料の検証を行う必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、第二段階として「補語成分の発展と重畳形式の多様化」について研究を進める予定である。具体的には、(1)a.使成複合動詞、b.結果複合動詞等、初期の連動形式の用例から収集し、動補構造の焦点の移行現象と機能構文への影響を調査する、更に、重畳形式の短時態への発展経緯と表現の多様化を整理する、ことを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当する資料を収集するほか、今年度、やや遅れの出ている版本の対照のため、積極的に国内外の図書館や資料室、文庫などに行き、資料の収集および検証を行いたい。これにより、研究内容のデータの信憑性を高めることが期待できる。
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Research Products
(1 results)