2012 Fiscal Year Research-status Report
近現代の漢語動詞の演変分化による機能構文の構造発展と機能義変容に関する通時的研究
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23520499
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤田 益子 新潟大学, 企画戦略本部国際戦略企画室国際センター, 准教授 (10284621)
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Keywords | 補語 / 重畳形式 / 二音節化 / 述語動詞 / 文法構造 |
Research Abstract |
文法構造に大きな影響を与える動詞の演変については、動詞が動作行為、存在等を表すものとして本来の動詞として進展していく本流の他に、動詞が虚化することによって機能分化し発展していくもの(ここでは実義が希薄になるものとして介詞と補語の両方を含む)と文構造の変性やヴォイス(態)等の文法的機能を伴う構文を構成する機能語に発展していくものと、大きく2つの分岐が見られる。本研究では、これらを更に、文法機能と構文との関係によって細分化し、研究の構想を五段階に分けて進める。前半は、文成分の働きに関わる変化、後半は、文の構造に関わる変化に関する分析を行う予定である。これまでの研究は前半に属すもので、平成23年度の第一段階「虚化による介詞への進展」に続き、平成24年度は第二段階として「補語成分と重畳形式の発展」について研究を進めた。 第二段階の「補語成分の発展と重畳形式の多様化」に関する研究の具体的な手順と方法は、次に挙げるとおりである。 文構造の変化は唐代以降、補語の発展に伴う構造の複雑化によるところが大きい。補語の発展はどのような意味を持つ動詞のグループが先行して発展したのか、更に時代が下るにつれて二音節化が進むだけでなく、文意において述語動詞よりも補語の方に重心が傾く傾向が見られるのは何故か等の問題に焦点を当て研究を進めた。これは第三段階の処置義と致使義において、現代に近づくにつれ致使義の勢力が拡大していく過程と関係する問題である。また、重畳形式は機能構文の構造を複雑化する一つの要因であり、歴史的には重畳形式は動補構造の発展形式と見ることが出来ることから、重畳形式についても考察を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎資料の対照研究において、不十分なところがあるため、現在使用している資料の語彙については、一部信憑性の欠ける点があると考える。今後、積極的に基礎資料となる版本の検証に努める必要性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は第三段階として、「処置、致使を表す機能構文の発展」について研究を進める。手順と方法としては、処置式の意味機能の変貌と主語の施事受事の関係を明らかにする。 調査対象としては、具体的には次のような語の変遷と構文の関係について研究を進める。 ①早期の処置式の標記は工具義から出てきた“以”であるが、以降現れたものとして“把”、“將”、“捉”などが挙げられる。現代漢語では“把”(“將”)、方言で“拿”等が用いられる。これらの語の発展、共時、更に衰退の変遷状況を検証する。 ②時間的な余裕が有る場合は、北京語の口語(“把OV給了”、不如意、不愉快さを表す)や、“把”と“給”(受動)の重合の問題にも触れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画において遅れのでている資料について対照作業を行うため、資料の収集や、他の研究機関などの図書館における情報収集並びに資料整理に研究費を使用したい。
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