2011 Fiscal Year Research-status Report
形容詞語彙の使用パターンとその構造化に関する日仏語対照研究
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23520504
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤村 逸子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (50229035)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フランス語 / 日本語 / 形容詞 / コーパス / 語彙化 / 文法化 |
Research Abstract |
日本語とフランス語の形容詞とその形態的ヴァリアントをそれぞれ約100個選択し、大規模コーパスを用いてその使用パターンを検討した。品詞と文法機能には直接の関連はなく、意味が文法機能の傾向を決めることを明らかにした。その上、特に名詞修飾機能が顕著な色彩形容詞と、特に述語機能が顕著なモダリティ形容詞の「みたいだ」を対象に研究を深めた。まず、フランス語の色彩形容詞の報道テキストと文学テキストにおける使用を観察した。報道テキストにおけるフランス語の色彩語の特殊な機能はフランス語の色彩語の形容詞性に由来するという仮説を発表した。また、色彩形容詞と名詞とのコロケーションを、MIスコア、単純頻度、相関係数によって測定し、複合語としての使用、すなわち語彙化とコロケーション指標の関係の研究を進めた。つぎに日本語のモダリティー形容詞の「みたいだ」の通時的変化を歴史的コーパスと現代日本語話し言葉コーパスの話し手の年代別検討に基づいて観察しその文法化の進展を記述した。連体形の「みたいな」の形態でさえも述語用法になる理由を考察した。国際学会において3件の発表を行い、各国の研究者との研究交流を進めた。2011年5月に国際セミナー「日本語とフランス語:対照言語学的アプローチ」を開催し、2012年3月にフランスの日本語研究集会で研究発表を行うことにより、日仏対照研究のための国際的な協力関係を強固なものにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存のコーパスサーバーを利用して既存のコーパスのN-gramを作成し、大規模なデータ処理を容易に実現できる環境を整えた。プログラミング手法および統計手法の検討を行った。形容詞のリストを作成し、コーパスを利用して形容詞の基本的な使用を明らかにし、数値化し、データベースの作成を開始した。文献研究を行った。パリ高等研究院のIrene TAMBA教授の協力により、データの評価を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
形容詞語幹のリストを完成させ、コーパス整備を完了させる。日本語とフランス語のコーパスにおいて選択した形容詞語幹を検索し、それを語基とする表現の文法パターンとコロケーションパターンをデータベース化する。日本語とフランス語のデータベースを定量的に分析し、結論付ける。国際学会で研究発表を行い、海外の研究者と打ち合わせる。日本語、フランス語それぞれの形容詞のうちとくに興味深いパターンを見せるものを選択して、通時的、および共時的に多角的分析を行う。日本語とフランス語で意味が同等のものを選択して、同様の使用をパターンが観察できるかの検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データベース作成のために人件費、謝金を使う。国際学会で研究発表を行うための旅費を使う。
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Research Products
(4 results)