2012 Fiscal Year Research-status Report
バイリンガル教育研究成果の実践適用に関する言語政策的研究
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23520506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚原 信行 京都大学, 高等教育研究開発推進機構, 准教授 (20405153)
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Keywords | バイリンガル教育 / 外国人 / 移民 / 言語政策 / 言語教育政策 / 言語への気づき / 多言語活動 |
Research Abstract |
研究対象地域における公立小学校教員および地域学習支援活動関係者等を主要な対象として初年度に実施した、バイリンガル児童向け会話力テストとバイリンガル読書力発達度テストについて学ぶ「OBC/B-DRA実践ワークショップ」参加者アンケートの結果から、バイリンガル教育に関する知見を日常的教育活動現場に周知していくためには、バイリンガル教育に関する知見だけを独立して浸透させようとするよりも、その背景にあるさまざまな文化的情報や多言語主義的考え方によってこの知見を「包み」、より親しみ易いパッケージとして伝達することが必要ではないかという仮説を立てた。この仮説に基づき、バイリンガル教育に関する知見を日常的教育活動に浸透させるパッケージングのあり方を探るパイロット的取り組みとして、研究対象地域に位置し、移民児童が在籍する公立小学校2校それぞれにおいて(1)「ラテンアメリカ図書展」(2012年10月中旬~11月上旬)(2)「外国語活動」内での多言語活動(2013年1月・2回)を実施した。また、(1)および(2)の実施後、教員に対する聞き取り調査やアンケート調査を通じ、その効果や影響について考察するための基礎データを収集した。調査の進展に必要なことは言うまでもないが、それに加えて、常に現場に立ち返り研究計画を見直すという意味でも、学校関係者と特定のテーマについて話す機会を可能な限り多く持つことは有効であった。また、現場の実情に触れることで、理論からのみ演繹する政策的取り組みがいかに実情とかけ離れたものとなるかをより明確に意識できた点は、最終年度の調査に向けて非常に有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の調査結果および現場の状況の変化を受けて、2年目の具体的な調査計画を変更した。「バイリンガル教育研究の成果を教育現場に有効に伝達し共有する組織的・政策的方法論を明らかにする」という目的にとっては、当初の計画に固執するよりも、現場の実情を勘案した迅速かつ柔軟な変更を実施するほうがより適切なアプローチと考えられる。データ収集は進んでいるが、データ分析に遅れが出ているため、こちらを急ぐこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した「OBC/B-DRA実践ワークショップ」参加者に対する追跡アンケート調査を実施し、ワークショップで得られた知見が具体的にどのように活用されたのか、また活用されていない場合はなにが阻害要因なのかを分析する。また、前年度に行ったバイリンガル教育に関する知見を日常的教育活動に浸透させるパッケージングのあり方を探るパイロット的取り組みを、追跡アンケートから得られる知見に基づく修正を加えた上で再度実施し、これまで個別に行ってきた複数の実践的調査の統合を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追跡アンケート調査の実施にかかる郵送費やデータ入力費用、必要に応じた聞き取り調査実施のための交通費および謝金等に使用する。また、図書展実施のための書籍借り出し費や資料作成費、これに同期して行う読み聞かせのための人件費・交通費、多言語活動実施のための教材作成費、人件費・交通費、図書展および多言語活動実施後のアンケート調査実施費および聞き取り調査実施のための交通費、学会・研究会等における報告発表のための交通費などに使用する。
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