2014 Fiscal Year Annual Research Report
バイリンガル教育研究成果の実践適用に関する言語政策的研究
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23520506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚原 信行 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (20405153)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | バイリンガル教育 / 言語政策 / 移民 / 多言語対話型アセスメント / 外国人 / 言語教育 / 言語意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研により平成23年度に実施した「OBC/B-DRA実践ワークショップ」参加者を対象に、ウェブベースの調査票調査を実施した。内容は主として①ワークショップで得られた知見がどのように利用されているのか(あるいは利用されていないのか)②ワークショップ参加後に関連情報をどのように得ているのか(あるいは得ていないのか)の2点について尋ねるものである。調査の結果からは、およそ以下の内容が確認された。すなわち(A)継続的なフォローアップがない場合、ワークショップで得た知見の詳細は徐々に忘れられてしまう。しかし、知見を通じて得られた視点は一定度維持され、学習支援の現場での態度に影響を与えていると考えられる。具体的には、地域学習支援活動の場において、学業面で困難を抱えるブラジル人児童と対峙する際、困難の原因を児童個人の属性に求めず、家庭や学校における言語環境およびサポートの度合いといった点も含めて検討するという態度を当然視するといった例が見られた。また、(B)バイリンガル教育に関する研究会や、学習支援活動関係者のコミュニティーとなんらかの形でつながりを維持している場合、散発的であっても関連情報を受け取る機会を持ち、これが刺激となってワークショップ参加で得られた知見が再活性化され、現場で新しい取り組みを生み出すなど、より有効に活用されていると考えられる。逆に、こうしたつながりを持たない場合、新しい情報を得る機会が少なく、学習支援活動もルーティン化してしまい、現状は維持されるものの、変化に対しては必ずしも積極的な姿勢を生み出してはいないようである。 バイリンガル教育研究の知見そもののが学習支援活動の現場において有益であることは言うまでもないが、現実に肯定的影響をもたらすためには、孤立した知識としてではなく、人間関係や関連知識等を含む1つの知のパッケージとして提供される必要があろう。
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Research Products
(4 results)