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2011 Fiscal Year Research-status Report

インドネシア国スラウェシ島の絶滅危機言語の多面的記述と言語データのアーカイブ化

Research Project

Project/Area Number 23520526
Research InstitutionMeisei University

Principal Investigator

内海 敦子  明星大学, 人文学部, 准教授 (70431880)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2015-03-31
Keywordsオーストロネシア言語学 / 記述言語学 / 言語アーカイブ / 社会言語学 / 少数民族言語
Research Abstract

私の研究題目は「インドネシア国スラウェシ島の絶滅危機言語の多面的記述と言語データのアーカイブ化」である。フィリピンの南西に位置するスラウェシ島の北部州には11の少数民族言語が存在する。これらの言語は話者が一万人から四万人と少ない上に、若い世代への伝達が行われていないので、消滅の危機にある。本研究の目的はこれらの言語の調査を行い、記述し分析しつつ、言語データを誰にでも利用できる形でアーカイブ化することである。同時に、民俗芸能文化の記録、神話・伝説の記録を行い、多面的なアーカイブを形成し、同時に言語シフトに関する社会言語学的調査を行い、民族語が置かれている状況を様々な方向から考察することが目的である。 スラウェシ島北部の少数民族言語はフィリピン諸語に属するが、その下位区分にあたるサギル諸語グループに属するバンティック語とタラウド語を対象に調査・研究を行ってきた。バンティック語に関しては、包括的な文法記述を論文にまとめ、平成17年度に博士論文として受理された。タラウド語は平成15年度より調査を始め、基礎的なデータは蓄積している。本特別研究費による研究においても、これら両言語の未だ調査不足である分野の調査を継続して行った。平成23年度は、平成22年度までの現地調査において採集したデータを分析して口頭発表と論文執筆を行った。また、三週間程度の言語調査を夏に行い、バンティック語とタラウド語の音声データおよび映像データを収集した。ここで収集したデータも一部を分析し、口頭発表および論文執筆を行った。アーカイブ化に関してはオーストラリア人(ラ・トゥルーブ大学)Anthony Jukes氏およびインドネシア人(マナド大学)Hendrik Paat氏の研究者と協力し、データの加工を行う計画をたて、平成24年度以降順次データの加工と公開を行っていく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

口頭発表および論文にまとめた研究成果については以下の通りである。私は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のプロジェクト「インドネシア諸語の記述的研究」研究会に参加しており、他のインドネシア諸語研究者との意見交換および発表の場として活用している。本研究における成果は随時、この研究会にて発表を行っている。従来から取り組んできたバンティック語のreduplication(重複形)に関して論文を執筆し、平成23年度に『アジア・アフリカの言語と言語学 vol.6』に掲載された。バンティック語のテンス・アスペクトの体系については、従来の口頭発表における質疑応答の成果を踏まえて、論文を執筆しおわり、アジア・アフリカ言語文化研究所のプロジェクトの一環として平成24年3月に提出済みである。また、バンティック語話者のおかれた社会言語学的環境については平成23年度までに収集したアンケートを分析し、二つの論文にまとめた。タラウド語のテンス・アスペクトの体系に関しては、日本言語学会秋季大会にて口頭発表を行った。現在、論文を執筆中である。現地調査については、平成23年度はバンティック語とタラウド語に関する調査を行った。バンティック語の調査は主にブハ村で行い、映像・音声データ(談話資料)を3時間分採集し、その半分を書き起こした。このデータ収集の目的は、テンス・アスペクトおよびダイクシスにかかわる要素が実際の自発的な会話の中でどのように用いられているかを調べることである。タラウド語の調査は、サリバブ島で行い、リルン市およびサリバブ村にて言語調査および言語資料(映像・音声データ)を収集した。同じサリバブ島ではあるが、地域によって発音や語彙が多少異なるので、タラウド語の方言に関する調査も兼ねている。主にテンス・アスペクトの体系と統語論の分析のための調査を行った。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度の研究は、以下の三つの方向で進めていく。第一に、口頭発表および論文発表を進め、同時に英語によるバンティック語の文法書の執筆を進める。主なテーマは、「バンティック語のダイクシスおよび方向性を表す用語(directional terms)の記述」、「バンティック語およびタラウド語における節連結の方法」、「バンティック語のpitch accent」、「バンティック語およびタラウド語の形態論、動詞屈折・派生の体系」「タラウド語のテンス・アスペクト」である。第二に、現地調査を行い、さらなる言語データを収集する。3週間程度の日程で平成24年8月に予定している。現在のテーマに関わる調査項目はエリシテーションによる調査にて行う。また、談話データをさらに収集し、できるかぎり音声と映像を記録する。対象言語はバンティック語とタラウド語に加えて、ミナハサ諸語に属するトンサワン語について行う。バンティック語に関しては談話資料の収集をさらに進める。タラウド語は多くの島々で話されているので方言差が大きい。平成24年8月の調査では、現地のインドネシア人研究者の助力を得て、200語程度の語彙と、シンプルな100程度の文からなる調査票を作成し、5地点から10地点にて調査を行う予定である。トンサワン語に関しては、語彙の調査が終わっているので、形態論に焦点をしぼり、体系が見通せるようなデータ収集を行う。第三に、これまで収集したデータのアーカイブ化を進める。オーストラリアのラ・トゥルーブ大学に連携研究者のDr. Anthony Jukes氏がおり、私が持っている言語データのアーカイブ化への協力を申し出てくれている。この大学に言語データを送り、インドネシアにいる当該言語話者も海外の研究者も、簡単にアクセスできるアーカイブでの情報公開を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度における研究費の使用計画について述べる。24年度までに収集したデータのアーカイブ化にあたり、データ加工を行う研究者への謝金として10万円程度、タラウド方言のデータ収集を行う研究者への謝金として20万円程度、現地調査費用として60万円程度、英文にて論文を執筆する際の英文校閲費用として10万程度を見込んでいる。

  • Research Products

    (10 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 「タラウド語のアスペクト体系と結果相・継続相を表す接頭辞UA-がふかした動詞」2012

    • Author(s)
      内海敦子
    • Journal Title

      『明星大学研究紀要-人文学部-日本文化学科』

      Volume: 第20号 Pages: 236-250

    • DOI

      ISSN 2186-2818

  • [Journal Article] Reduplication in the Bantik Language2012

    • Author(s)
      Atsuko Utsumi
    • Journal Title

      Asian and African Language and Linguistics

      Volume: Vol 6 Pages: 5-26

    • DOI

      18813283

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] テクスト中のバンティック語のテンスとアスペクト2012

    • Author(s)
      内海敦子
    • Organizer
      言語ダイナミクス科学研究プロジェクト「インドネシア諸語の記述的研究」第10回研究会
    • Place of Presentation
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • Year and Date
      2012年3月2日
  • [Presentation] Bantik Morphology: Postulating Subtypes of the bases2012

    • Author(s)
      Atsuko Utsumi
    • Organizer
      言語ダイナミクス科学研究プロジェクト「インドネシア諸語の記述的研究」第9回国際研究会
    • Place of Presentation
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • Year and Date
      2012年2月18日
  • [Presentation] Deixis and Spatial Reference in Bantik2011

    • Author(s)
      Atsuko Utsumi
    • Organizer
      言語ダイナミクス科学研究プロジェクト「インドネシア諸語の記述的研究」2011年度合同研究会
    • Place of Presentation
      国立民俗博物館
    • Year and Date
      2011年7月22日
  • [Presentation] バンティック語の所有2011

    • Author(s)
      内海敦子
    • Organizer
      言語ダイナミクス科学研究プロジェクト「インドネシア諸語の記述的研究」第6回国際研究会
    • Place of Presentation
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • Year and Date
      2011年4月23日
  • [Presentation] タラウド語における結果・継続アスペクトを表す接頭辞UA-の分析-継続アスペクトとの相違-2011

    • Author(s)
      内海敦子
    • Organizer
      日本言語学会第143回大会
    • Place of Presentation
      大阪大学豊中キャンパス
    • Year and Date
      2011年11月26日
  • [Presentation] タラウド語の結果相・継続相を表す頭辞UA-が付加した動詞について2011

    • Author(s)
      内海敦子
    • Organizer
      ダイナミクス科学研究プロジェクト「インドネシア諸語の記述的研究」第8回研究会
    • Place of Presentation
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • Year and Date
      2011年10月22日
  • [Book] Words in Motion, Chapter 6: Language Use and Attitudes to Language in Multilingual North Sulawesi: A Sociolinguistic Survey in the Bantik-Speaking Area pp127-1522012

    • Author(s)
      Atsuko Utsumi
    • Total Pages
      312
    • Publisher
      NUS Press
  • [Book] 『多言語主義再考-多言語状況の比較研究』第14章インドネシアにおける少数民族語地域の言語使用と実態 pp465-4962012

    • Author(s)
      内海敦子
    • Total Pages
      755
    • Publisher
      三元社

URL: 

Published: 2013-07-10  

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