• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

ウイグル漢字音成立プロセスの解明

Research Project

Project/Area Number 23520533
Research InstitutionKyoto Sangyo University

Principal Investigator

庄垣内 正弘  京都産業大学, 文化学部, 教授 (60025088)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsウイグル文献 / ウイグル漢字音 / ウイグル文字表記漢文 / ベルリンコレクション / サンクトペテルブルグ所蔵 / 漢文訓読
Research Abstract

ベルリンコレクションのウイグル文字表記漢文本U5335の未解読部分の約80%を元の漢文と同定し漢字音資料とすることができた。新たに同定した漢文の大部は「五台山讃文」に所属するが、その内容は実地調査の結果サンクトペテルブルグ所蔵漢文とほぼ一致した。またその中に「仏子」を表す特殊漢字音も発見でき、これまでに見つかっている特殊音「宝」「願」「王」に加えることができた。これら特殊音の分析はこれからである。 サンクトペテルブルグ所蔵ウイグル文字文献の中に新たにウイグル文字表記漢文断片2葉を見つけ、それらを『聖妙吉祥真実名経』に同定し、2葉に関する論文(Two Fragments of Chinese Manjusrinamasamgiti Transcribed into Uighur Script Dx-12082 and Dx-12114 in St. Petersburg)はロシア科学アカデミー東洋文献研究所前所長のE. Kychanov教授80歳記念論集に寄稿した。 サンクトペテルブルグ所蔵漢文断片10葉には行間にウイグル漢字音の音韻体系に随う25の音注漢字が見られる。その分析から、ウイグル文字表記漢文を資料として再構築したこれまでのウイグル漢字音体系が韻母母音を細密に分析しすぎていることが解った。この断片類の内容である『金光明最勝王経』と『大般若波羅蜜多経』もウイグル僧によって漢字音で朗読されていた事実が判明した。 ウイグル漢字音とウイグル語による漢文訓読との関係について記述し、その内容を「日・韓訓読シンポジウム」(平成23年10月29日 麗澤大学)にて発表した。漢字使用に関しては、漢字音をもつ日本語、朝鮮語、越南語の中でウイグル語は日本語に最も近く、漢字音による音読と訓読の両方を自由に使用すること、さらに両者における漢文訓読の発展の在り方の類似について論じた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は費用執行が遅れたことに加えて、病気治療に専念した時期の発生したことにより30パーセント程度の遅れが生じた。海外調査や補助員を雇い入れての資料整理なども十分には行えなかった。これらの遅れは24年度に取り戻せる見通しである。

Strategy for Future Research Activity

ベルリン所蔵のU5335の漢字音写形式の分析は、本来なら23年度に完了させるべきであったが、病気治療などによって遅れている。この分析を早急に完了させ、さらに漢字音体系をベースにして音注された漢語音の分析結果とを踏まえて、2003年に提出したウイグル漢字音体系を修正する。U5335の実物を見たことがないのでベルリンに赴いて実地調査しマイクロフィルムでは不明な部分を確かめ体裁についても測定したい。 1987年にウイグル文『大慈恩寺三蔵法師伝』中の2000を越える漢語音写語彙を分析したが、その後見つかった『阿弥陀経』中の数百の同類語彙も含めて再分析し、ウイグル漢字音との違いを明確化したい。さらにウイグル漢字音成立の時代と発展課程について記述してみたい。なお、『阿弥陀経』のロシア所蔵分はマイクロフィルムを頼りとしているが、サンクトペテルブルグに赴いて精査する必要がある。また漢字音写語彙の整理には複数の作業補助員を必要とする。 漢字文化圏の中で日本海を隔てて中国と遠い関係にあった日本と、砂漠を隔てて遠いウイグルとが他に例を見ない近似の漢字使用をする。そのメカニズムについて考察してみたい。この研究には漢字文化圏の漢字使用に関する多くの書籍の購入が必要となる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1. 漢語、チュルク語、仏教関係図書費、パソコン関係の物品費などに約40万円を要する。2. ウイグル語文献調査のためベルリン・ブランデンブルグアカデミーへ一回と、ロシア科学アカデミー東洋文献研究所へ一回の海外出張が必要である。約60万円を要する。3. 文献整理と写本マイクロフィルムの整理、さらに原稿チェックのための人件費、謝金に約50万円が必要である。4. 論文の英文修正専門会社への費用、通信費などに約30万円を要する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Two Fragments of Chinese Manjusrinamasamgiti Transcribed into Uighur Script Dx-12082 and Dx-12114 in St. Petersburg2012

    • Author(s)
      SHOGAITO Masahiro
    • Journal Title

      "Tangut in pre-Mongol Age" (Festschrift for the 80th Birthday of Professor Evgeniy Kychanov)

      Volume: in print Pages: in print

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] InterInterlinear characters based on the phonological system of IUPC2011

    • Author(s)
      SHOGAITO Masahiro
    • Journal Title

      CSEL

      Volume: 17 Pages: 1~17

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] ウイグル漢字音と漢文訓読2011

    • Author(s)
      庄垣内正弘
    • Journal Title

      『日・韓訓読シンポジウム』(麗澤大学)

      Volume: 平成21年~平成23年開催報告書 Pages: 199~211

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ウイグル漢字音と漢文訓読2011

    • Author(s)
      庄垣内正弘
    • Organizer
      日・韓訓読シンポジウム(招待講演)
    • Place of Presentation
      麗澤大学
    • Year and Date
      2011年10月29日

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi