2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520537
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
尾鼻 靖子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60362141)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ポライトネス / 役割理論 / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は主に論文執筆と学会発表の年となった。昨年度までにインタビュー、ドラマ・映画などのスクリプトの会話データを分析し、日本語の語用論的現象を抜出し、また、本研究の中核となるシンボリック相互作用役割理論を適用し、さらに言語学分析に必要と思われる拡張的要素を創出し、それらを日本語の現象に適用した。例として、インタビューデータにおける会話分析をすることにより、二人の会話がひとつの発話を作るという従来のjoint utteranceを超えて、従来の文法では分析できない特殊な二文融合の協同発話という現象が見られた。これを共著として2本論文を執筆した。またこのデータおよび映画やドラマのスクリプトに現れるスピーチレベルのシフト(丁寧体から普通体、またその逆)を分析し、心理的に表れる「役割」をdissociative roleと名付け、それを中心にスピーチレベルシフト現象を説明した。これは従来の研究とは異なる視点でこの現象を分析したのであるが、これも論文に仕上げ、投稿した(学会発表は2013年度に行っている)。また、インターネットで得られるコーパスもデータとして利用することで、多様な場面の会話データが得られ、そこから日本語の感謝表現である「ありがとう」「すみません」の使用領域、制約、条件を発見し、従来の研究とは異なる研究結果が得られた。これに関する論文はすでに出版されているが、もう1本も確定している。 2015年度7月には国際会議でパネルの発起人となり(昨年度受け入れられた)8人でポライトネスの最近の動向を批判しながら、これからはポライトネスはどのように研究されるべきかという点についてディスカッションを行う。このパネルの司会を務めるとともに自らも役割理論の適用適切性について発表する。
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Research Products
(8 results)