2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520538
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Research Institution | Iwate prefectural university,Miyako college |
Principal Investigator |
田中 宣広 岩手県立大学宮古短期大学部, その他部局等, 教授 (60289725)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 方言 / 拡張活用 / 言語景観 / 方言みやげ / 方言エール |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は,日本全国また諸外国の言語における言語の拡張活用例を整理して分析することにより,「社会言語学」の一分野「言語経済学」の方法論構築提案を目的とした。 研究題目を「地域語の経済と拡張活用に関する基礎的研究」を定め,各研究者が,互いに指導的役割を分担しつつ協力し合って研究を進めた。 「方言の拡張活用」とは,方言を文字で示した商品や,方言による誘いことばの掲示などにより,言語自体に経済価値を認める用法である。言語の機能では,方言が,本来の日常生活の話しことばの用法を超え,広告など非日常的な書きことばに使われる,拡張された使用法である。 言語の拡張活用は総合的に7種類が認められた。[1]方言みやげ・グッズ(方言を羅列した,はがき,のれん,湯飲み,提灯,衣類,手ぬぐい,菓子などの食品,ティッシュペーパーなどの日用品,その他,主に観光地で販売されるみやげやグッズ類),[2]方言ネーミング(方言を意識的に,商品名,店名,公共施設名,社名,行事名などの「名づけ」の全部または一部に利用),[3]方言メッセージ(駅や街頭・道路に,文字で掲げられた方言の観光客歓迎のことば,現地の人象により親しみを持ってもらうための誘い文句など),[4]方言パフォーマンス(方言を時間をかけて語り聴かせる恒常的な営業演出や放送番組),[5]方言キャラクター(各地ご当地キャラクターのうち方言ネーミングによるもの),[6]方言看板・ポスター類(方言メッセージを,非営利的な道徳啓発に応用),[7]方言エール(方言メッセージから,非常時などの精神鼓舞の「掛け声」に派生した用法)である。 現実の言語生活は共通語化にかかわらず,方言と地域の人々とのつながりには強まっていた。方言の拡張活用は,決して余興的なものでなく,地域の人々の潜在的な方言への強い思いのあらわれであることが理解できた。
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Remarks |
田中,井上,日高,山下,大橋による,共同作成
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Research Products
(2 results)