2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520539
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
藤本 雅子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, プロジェクト非常勤研究員 (30392541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 喜久雄 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語資源研究系, 教授 (20173693)
船津 誠也 県立広島大学, 産業社会部, 講師 (30275383)
藤本 一郎 拓殖大学, 工学部, 教授 (80143387)
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Keywords | 促音 / 調音 / 発声 / MRI |
Research Abstract |
本研究では促音の調音,発声の特徴を検討した。発声はハイスピードカメラによる喉頭動画とグロトグラムにより,子音生成時の声門開大の様子を調べた。その結果,閉鎖音は促音前半で声門開大が抑制され小さな開大が保たれるのに対し,摩擦音は子音開始前から十分な開大があり,声門開大の程度は閉鎖音,摩擦音ともに単子音と大差ないことが明らかになった。これは英語などの外国語の重子音の喉頭調節とは異なるパタンである。 調音はMRI動画により検討した。その結果,舌の拳上のタイミングは促音が非促音より遅れる傾向があった。非促音の子音では,無声子音の舌の拳上のタイミングが有声子音より早いことも示されたが,同じ無声子音の促音と非促音でもタイミング差がみられることは特徴的である。促音での舌の拳上が遅れることは,発声特徴である閉鎖音の促音前半の声門開大の抑制が,調音運動の声道閉鎖によりもたらされたものではないことを示し,促音発話時の声帯の緊張((服部 1984)や喉頭化(藤村 2007) の可能性を示唆する。声帯の筋電図など今後の検討が望まれる。 音響分析も並行して行った。その結果,イタリア語の重子音に先行する母音は単子音に先行する母音より短く,日本語のパタンとは異なっていた。これはイタリア語が音節リズムによる時間制御を行っているためと考えられた。南琉球宮古島方言では,語頭促音の後続母音の喉頭化や語頭の有声促音の鼻音化の特徴が示された。このように促音(重子音)の言語間差異と方言間差異も確認でき,今後の発声,調音運動研究の方向性への示唆も得られた。 これらの結果は,Interspeech 2013(Lyon),3rdICPP(Tachikawa, Japan),音響学会秋季大会(豊橋市)等で発表した。
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Research Products
(9 results)