2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520552
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60291994)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 訓点資料 |
Research Abstract |
訓点資料に付された訓点をもとに、どのようにして訓読文を作り上げるのか、その過程について具体的な説明が必要であるという観点から、本研究では、特定の訓点資料に対する詳細な注釈を行うことによって、「訓点資料解読のための手引き」を作成することを目的としている。あわせて、若手研究者が資料にアクセスしやすい環境を整え、オープンに議論できる場を設ける必要があるとの観点から、若手研究者に資料調査への参加を促し、資料について議論する機会を設けることをもう一つの目的とする。 その目的を達成するため、本年度は、若手研究者とともに訓点資料の所在について、予備的な調査を行い(高野山・京都大学など)、注釈の対象となる資料の選定を進めた。具体的には、高野山親王院・高野山大学図書館などで、大学院生をともなった調査を行った。また、京都大学文学研究科図書館・京都大学附属図書館では定期的に書庫の入庫調査などを実施した。 そして、その候補資料について予備的研究を行った。具体的には京都大学文学部蔵『金剛頂経』ならびに高野山親王院堯榮文庫蔵三部秘経を中心に研究を進めた。前者は院政期の標準的な仏書訓点資料であり、後者は最古の宝幢院点加点資料の一つであって、ともに価値が高い。 その過程で、調査合宿、研究会などを開催し若手研究者の啓発と教育に努めた。また、京都大学における授業でも訓点資料を取り上げ、高等学校での講演などでも資料紹介をした。加えて、上記の研究に資するため、先行研究の集成・整理を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに原本調査を進めている。また、もう一つの目標であった若手研究者の教育・啓発についても進展を見ることが出来た。註釈作成作業も計画通りに進んでいる。全般的に、当初の計画をおおむね予定通りに実行することが出来たといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
原本実地調査、研究会、註釈の作成など、継続的に行うべき活動が多い。それらを継続して着実に進めていきたい。教育上も、継続することが重要であろう。また、可能であれば、原本調査を行う寺院等の調査対象を拡大したいと考えているが、先方あってのことなので、計画には盛り込みがたい。 次年度使用額が発生したのは、調査対象寺院の住職に不幸があり、調査の実施を一度見合わせたためである。次年度は、調査回数を増やすなどして対応したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
継続して、原本の実地調査を行う(高野山・京都大学)。あわせて、重要資料の撮影を行う(高野山・京都大学)。それらの調査結果を整理し、電子化をはかる。 注釈の対象を決定し、研究会等の場を設けながら、注釈を作成していく。
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Research Products
(2 results)