2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520552
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60291994)
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Keywords | 訓点資料 |
Research Abstract |
訓点資料に付された訓点をもとに、どのようにして訓読文を作り上げるのか、その過程について具体的な説明が必要であるという観点から、本研究では、特定の訓点資料に対する詳細な注釈を行うことによって、「訓点資料解読のための手引き」を作成することを目的としている。あわせて、若手研究者が資料にアクセスしやすい環境を整え、オープンに議論できる場を設ける必要があるとの観点から、若手研究者に資料調査への参加を促し、資料について議論する機会を設けることをもう一つの目的とする。 その目的を達成するため、本年度も、若手研究者とともに訓点資料の調査・撮影を行った(高野山・高山寺・京都大学など)。具体的には、高野山大学図書館、高山寺などで、大学院生をともなった調査を行い、他にも久遠寺・国際仏教学大学院大学付属図書館等で調査を行った。また、京都大学文学研究科図書館・京都大学附属図書館では定期的に書庫の入庫調査を実施した。そして、京都大学文学部蔵『金剛頂経』ならびに陽明文庫蔵『遊仙窟』を対象として注釈作成作業を行った。前者については注釈作成をほぼ完了し、後者についてもその前半を完成した。 その過程で、調査合宿、研究会などを開催し、若手研究者の啓発と教育に努めた。京都大学における授業(演習)でも訓点資料を取り上げ、若手の関心喚起に努めた。加えて、上記の研究に資するため、先行研究の集成・整理を継続している。所属大学で十分な情報が得られない場合には、国立国会図書館・国文学研究資料館等で情報収集にあたった。 また、研究成果を世界に発信するため、既発表論文の中国語翻訳を進め『敦煌学・日本学 続編』(上海辞書出版社、2013年)として掲載されたほか、2013年12月に復旦大学(中国・上海)で行われた2013国際ワークショップ「日本“訓読” その歴史及び変化」にて「日本訓点資料提要」と題して講演を行った。
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Research Products
(5 results)