2013 Fiscal Year Annual Research Report
九州方言の音韻現象における接触・伝播・受容プロセスに関する研究
Project/Area Number |
23520554
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
有元 光彦 山口大学, 教育学部, 教授 (90232074)
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Keywords | 九州方言 / 音韻現象 / テ形 / 共生タイプ / 方言形成 |
Research Abstract |
本年度は,まず九州方言の音韻現象を収集するためのフィールドワークを実施し,その分析・記述を行った。調査地域は,長崎県壱岐市,宮崎県西部,鹿児島県本土南東部・西部島嶼部である。いずれの地域においても,教育委員会等に話者を紹介していただき,各地域2名程度のインフォーマントから聞き取り調査を実施した。調査項目は,テ形・タ形の音便形を中心に,その他一段動詞のラ行五段化現象についても調査した。 最終的には,本期間の研究全体に関する研究成果報告書(『九州方言におけるテ形音韻現象の記述的・構成的研究』,pp.1-162)を作成した。この中では,まずテ形音韻現象の記述的研究として,本期間にフィールドワークを実施した各地方言の記述を行っている。言語データを挙げることは言うまでもなく,それを記述するためのルール等も示している。また,テ形音韻現象に関する方言タイプの類型化もさらに精度を高めている。本期間のフィールドワークによって,新たな方言タイプが発見されたことは重要な点である。地理的な分布に関しても,全体像がより鮮明になったことは言うまでもない。特に,九州西部において,2つの大きな方言圏が形成されていることは重要な発見であろう。さらに,本報告書の主張するもう一つの柱は,共生タイプについての記述の精度が高まったことである。共生タイプの方言が新たに発見されたこと,そして共生タイプがなぜ形成されるのかという問題について,おおよそ解答の見通しが立ったことは,大変意義があるものである。特に,共生タイプの形成については,前述の2大方言圏が大きな影響を及ぼしていることは,方言の形成プロセスを議論する上でも重大な貢献をするものと考える。
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