2012 Fiscal Year Research-status Report
高校生の沖縄語使用についての調査・研究:消えていく言葉の中で何が残っていくか?
Project/Area Number |
23520557
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐々木 香代子 琉球大学, 留学生センター, 准教授 (60305216)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尚 真貴子 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (80341668)
狩俣 幸子 琉球大学, 法文学部, 非常勤講師 (90536690)
|
Keywords | 言語生活 / 沖縄語 / 高校生 |
Research Abstract |
23年度にアンケート調査を実施した高校が全て県立高校であったことから、データに偏りが生じる可能性が否定できないため、私立高等学校にも依頼状を出し、協力の承諾を得られた学校でアンケート調査を実施した。これで、県内本島および久米島にある全日制公私立高校56校の約86%にあたる48校で調査を実施し、3612人から調査票を回収することができた(方言の語彙、発音ともに沖縄本島および久米島とは異なる宮古・八重山地方の高等学校は本調査の対象から外している)。 私立高校でのアンケート調査実施・回収と並行して、23年度に終えることができなかった残り2割の入力作業を行い、その後、24年度に新たに実施・回収した私立高校のデータ入力作業を終了させた。 データのうち調査票の質問肢の部分についてはSPSSで統計処理(度数分布、クロス集計、T検定等)を行い、その分析作業を行った。自由記述回答部分については、分析するための前作業として、べた打ちになっているものを1語単位に整理して入力直し、語の分類・整理が可能な状態にした。 また、方言調査の方法論や分析の視点等の情報収集のため、3月に開催されたJASS社会言語科学会の春季大会に2名が出席し、シンポジウム、口頭発表、ポスターセッションを通じて方言や言語調査を行っている研究者と交流し、今後の分析のための知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書および23年度終了時点での計画では、24年度はデータ入力を完了させ、質問票のうち質問肢の部分についてはSPSSで統計処理を行い、自由記述回答部分についてはべた打ちになっているものを分類・整理する予定であった。このうち、データの入力、質問肢部分の統計処理および分析は終了し、25年度に予定していた地域差や将来への志向性、性別、学年、両親の出身との関係性の有無の考察を始めている。 が、自由記述回答部分については、分析前作業は終了しているものの、分類については分析に至ってはおらず、予定よりやや遅れていると言わざるを得ない。
|
Strategy for Future Research Activity |
質問肢部分の統計結果から、すでに始めている地域差や将来への志向性、性別、学年、両親の出身との関係性の有無の考察を進める。その一方で、自由記述回答部分の語の分類作業を進め、頻度順に整理する。これらの分析・考察を基に、現在の沖縄の若者の沖縄語の使用状況(どのような言葉が使われ、どのような言葉が使われなくなっているか)を明らかにするとともに、ウチナーグチの影響を受けている若者の言葉を抽出する。なお、研究結果については、学会で発表し、学会誌・大学紀要等に投稿する。 25年度は本研究の最終年度にあたるため、上記分析・考察の結果をまとめ、報告書を作成する。作成した報告書は調査に協力いただいた高校および担当教諭に謹呈する。さらに、沖縄の高校生が自分の使用している言語を意識化できるようにするためのきっかけとなるような冊子を作成し、報告書と併せて高校の先生方に資料として使っていただく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
報告書および冊子編集作業謝金:20,000円 学会出張旅費:80,000円 報告書および冊子印刷代:400,000円
|