2011 Fiscal Year Research-status Report
福岡に残る洋学資料コレクション筑紫文庫資料を主対象とした近代日本語語彙の基盤研究
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23520561
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
坂本 浩一 福岡女子大学, 文学部, 准教授 (30225809)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本言語文化史研究 |
Research Abstract |
(1)「研究の目的」について → 当初の目的に沿って、福岡市内九州大学中央図書館に収蔵される貴重な洋学コレクション「筑紫文庫」の収蔵資料の中からJ.H.ガビンス編の『漢語英訳辞典』を活用する研究に着手出来ており、計画の遂行は順調であるといえる。(2)研究実施計画について → 福岡地域に残る貴重な洋学資料コレクションである九州大学筑紫文庫に収められる対訳辞書資料のうち、本研究課題の中心研究資料となる『漢語英訳辞典』についての電子複写を終え、入力作業に入っている。 本年度の計画進行においては、九州大学筑紫文庫蔵『漢語英訳辞典』に欠落頁が存することが障害となって若干「漢語語彙英語対訳データベース」の入力着手にまで時間と労力を割くこととなったが、年度内には欠落箇所の影印画像を確認作業を終えるなどして、無事に研究計画を進められるようになった。 具体的な研究成果としては、本年度の成果である『漢語英訳辞典』のデータの一部は研究計画者の研究活動にさっそく活用され、学術研究誌『香椎潟』56・57合併号(福岡女子大学国語国文学会誌)に掲載する論文「明治期日欧言語交流史の一研究 『英語節用集』所収二字漢字表記語の『新撰初学英和辞書』における収載状況をめぐって ―周辺資料『華英字典』・『写真石版附音挿図英和字彙』・『漢英対照いろは辞典』・九州大学蔵『漢語英訳辞典』を交えた検討―」にまとめられることとなった。当該論文は、明治期の日欧言語文化交流史研究に貢献する基礎的データの蓄積とその分析を進める一助となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)「漢語語彙英語対訳データベース」入力作業への着手 → 課題研究において作成する「漢語語彙英語対訳データベース」について、入力項目に関する様式の策定を試行錯誤を伴いながら慎重に進めているため、思ったよりも初年度の入力作業を進展させ得なかったが、中心資料となる九州大学筑紫文庫蔵本『漢語英訳辞典』の欠頁部分の補填に用いる他の刊本類の確認作業も終えて、順調に入力作業に着手出来ている。(2)学術誌への研究論文の公表 → 研究成果として学術雑誌『香椎潟』56・57合併号(福岡女子大学国語国学会誌)に、研究論文「明治期日欧言語交流史の一研究 『英語節用集』所収二字漢字表記語の『新撰初学英和辞書』における収載状況をめぐって ―周辺資料『華英字典』・『写真石版附音挿図英和字彙』・『漢英対照いろは辞典』・九州大学蔵『漢語英訳辞典』を交えた検討―」を発表できることとなっている。 以上の2点から、総体的に見て研究計画は概ね順調に進行しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究計画については基本的に進行を維持する → 研究計画の手順自体に変更は生じていないため、作業のペース・量を順調に伸ばしていく予定である。現在は、『漢語英訳辞典』欠頁部分の補填作業も終えたため、「漢語語彙英語対訳データベース」の入力作業も順調に運ぶ見込みが立っており、当初の計画手順に沿った作業進行が可能となっている。(2)「漢語語彙英語対訳データベース」入力計画は入力の量とペースをあげる → 次年度においては、本年度において出来なかった補助入力者の採用と作業割当を適切に行って「漢語語彙英語対訳データベース」の充実を目指す予定である。(3)研究成果の公表 → 次年度においても、学術誌に本研究の成果を研究論文として掲載し、日本語語彙研究の進展への寄与を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)「次年度に使用する予定の研究費」について (1)「漢語語彙英語対訳データベース」作成作業への優先的充当 → 次年度においては、本年度に採用が間に合わなかった入力補助者を適切に採用し、その賃金支出に「次年度に使用する予定の研究費」を優先的に充てる予定である。また、入力補助者とのデータやり取りやデータ集積に用いるUSBメモリやHDD等の機器類にも「次年度に使用する予定の研究費」を優先的に充てる予定である。 (2)幕末明治初期を中心とした洋学資料研究に関する学術研究図書類の購入費用への充当 → 次年度においては、本年度に購入予定であった幕末明治初期を中心とした洋学資料研究に関する学術研究図書類の購入費用に充てる予定である。(2)「翌年度以降に請求する研究費」について 研究計画に変更はなく、当初計画通りに変更なく使用させていただく予定である。
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Research Products
(1 results)