2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520576
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 朗 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80177790)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 段階性の意味解釈 |
Research Abstract |
本研究は、比較構文などの意味論的分析で有効的とされている「度合い(degree)」や「計量(measurement)」と呼ばれる概念が、単に比較構文ばかりでなく、述語のイベント構造、副詞修飾、時間関係を表す副詞節、数量詞と名詞句の構造、関係節構造、原因・判断の不定詞節、評価的述語など、言語の非常に広範な領域にかかわっていることを実証的に検討し、「度合い」の概念認識と諸構文の関係を明示化するとともに、特に英語と日本語について、この「度合い」の概念を用いて文法全体を新たに組み直そうと試みる研究である。 本年度の実績としては、「度合い」概念がかかわる比較構文の従来研究のレビューを行い、それに基づいて、より認知的基盤を強固にした(「度合い」に関する)意味モデルの構築を行った(成果としての論文は平成24年度に公開される)。また、これに関連した個別言語現象の分析として、(a)統語構造に即した段階的形容詞・副詞の意味解釈手順の明示化、(b)述語のアスペクト特性やイベント構造と段階性の関係を捉える分析の基礎的調査、(c)通例は段階性や比較構文との関連が認められていないと思われるtough構文の不定詞と判断・原因の不定詞節が実際は段階性と深い関係にあることの明示、(d)「~すぎる」という語を含む日本語文の解釈についての基礎的研究を行った。このうち(d)の研究については、平成24年度中に成果を論文の形で公表される。 また、2011年9月に、本科研費課題に一部関係するワークショップ「言語におけるミスマッチ」を東北大学情報科学研究科にて開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成23年度中に、当該研究課題に即した博士論文を執筆、東北大学文学研究科に提出する予定であったが、東日本大震災の影響で2011年4月~5月中の研究作業ができず、半年ほど遅れているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、平成23年度内に達成する目標であった博士論文の完成を8月末までに達成したい。それと同時並行的に、博士論文で取り扱うことにしている次の現象について、個別に研究を進め、そのうちいくつかを専門誌などで発表する予定である。(a)副詞類(特に「程度」を表す強意詞など)の意味解釈、(b)数量詞の解釈と名詞句指定部の統語構造、(c)量的関係節(amount relative)などの関係節構造、(d)same/differentを含む文の意味解釈、(e) before /afterなどによる時間的比較表現の分析。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究課題に関連する統語論・意味論関係の研究書の購入に20万円、日本英語学会、日本言語学会等の国内学会出席、および資料収集のため20万円、および消耗品等に10万円を予定している。
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Research Products
(1 results)