2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520582
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 文子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (70213866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (30191787)
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Keywords | 認知 / 感情 / 概念メタファー / コーパス / 英詩 / 辞書 / 慣用表現 / 文体論 |
Research Abstract |
平成25年度は、Metaphor of Emotions in Englishと題した書籍の刊行に向けて、準備を進めた。最終原稿を完成させ、ひつじ書房から出版することが確定した。原稿は現在、ひつじ書房に提出済みで、現在印刷作業が進んでいる。この書籍は、平成24年度に博士(文学)の学位を取得するにあたり大阪大学大学院文学研究科に提出した学位申請論文に加筆修正を施したものである。本書は、感情を理解するための概念メタファーの構造と写像の仕組を、英語大規模コーパスのデータ、英詩などの文学作品、辞書などの小規模コーパスに記載された慣用表現を研究対象として探究したものである。本年度はさらに、研究分担者と共同で携わっている動物メタファー研究を進め、馬を表す語の比喩義の研究成果を大阪大学大学院言語文化研究科が発行する共同研究プロジェクト報告書において発表するとともに、19世紀英国動物寓意詩The Jackdaw at Homeの翻訳、注釈、認知メタファー論の観点からの分析を実施した。大阪大学大学院文学研究科で開催された阪大英文学会第46回大会におけるシンポジアム「英語のデザインを読む」では講師として招聘され、本研究課題で確立した方法論を援用した認知文体論研究の成果を「太陽の詩的意味とメタファーのデザイン」と題して発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に著した書籍Metaphor of Emotions in Englishについては、従来の認知メタファー論研究が用いてきた内省に基づく直観的データではなく、日常言語や文学の言語として実際に用いられた生のデータを観察、分析するという研究方法の妥当性の高さを確認することができ、ここまでの研究により提示した新たな認知モデルおよび感情メタファー写像の構造の特性を、本研究課題遂行のための骨組みとして位置づけることができた。本書執筆に際して基礎とした研究代表者の博士学位論文で提示した研究方法論を認知文体論研究に援用する可能性について阪大英文学会シンポジアムにて発表するよう招聘されたことからも、本研究の成果が高く評価されていることが裏付けられる。また、研究代表者と研究分担者は、これまで共同で、一連の19世紀英国動物寓意詩群の翻訳・注釈・メタファー分析に携わってきたが、本年度はさらに新たな動物寓意詩の共同研究を完成させた。以上の点で研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究代表者(大森)と研究分担者(渡辺)がこれまで収集したデータの分析・考察結果について、互いの専門分野の見地から検証しあう。また、研究代表者と研究分担者が共同研究を進めてきた動物の概念領域に由来するメタファー研究の成果を整理、統合し、共著の学術書として刊行するための最終準備を行う。特に、動物媒体を用いた感情メタファーの慣用表現 feel like [animal term] について大規模コーパスでデータを収集して分析する予定である。加えて、本研究課題の研究方法に多大な示唆を与えたHans Lindquist著のCorpus Linguistics and the Description of English (Edinburgh University Press, 2009) をテクストとした、研究代表者、研究分担者を中心とする輪読研究会の研究成果を翻訳書として刊行するための最終準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題遂行のために使用しているパソコンの調子が悪くなったため、2013年度にパソコンを購入する予定であったが、ウイルス除去と修理を行った結果、多少の不具合は残ったものの使用できるようになり、パソコンの購入を見合わせたため。 本研究課題遂行のために使用しているパソコンが年度末に完全に故障し、研究に支障をきたしているため、Windows8を搭載した最新型のパソコンを購入し、研究環境を整備する予定である。
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