2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520590
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
高見 健一 学習院大学, 文学部, 教授 (70154903)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 機能的構文論 / 形式と意味 / 構文交替 / 数量詞遊離 / 場所格交替 / 使役文 / 使役交替 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成25年度から平成27年度にわたる5年間で、様々な英語および日本語の構文やその交替現象を意味的・機能的視点から分析するものであるが、平成26年度の4年目は、これまでの研究が進展し、その成果を着実に出せたと思われる。 著書として、日本語の「~てある」構文、存在文・所有文、数量詞遊離構文、壁塗り交替構文、「~させてくれる/させてもらう」構文等を扱った『日本語構文の意味と機能を探る」(共著、くろしお出版)と、英語の多くの使役構文を意味的に分析した『謎解きの英文法ー使役』(共著、くろしお出版)を出版することができ、多くの好意的反応を得ることができた。また、「There 構文と場所句倒置構文」、「二重目的語/与格構文と『所有』の意味」の2つの論文(単著)が刊行され、「Time-away 構文の適格性条件」の論文(単著)を執筆した。また、ハーバード大学名誉教授の久野すすむ氏との共著で、"Functional Syntax" の論文と、英語の副詞(句)・副詞節に関する著書の原稿を書くことができた。これらは来年度、刊行の予定である。 本研究の4年目となり、英語と日本語の様々な構文の適格性やその交替現象が、意味や機能、文脈、語用論的要因に大きく影響を受けていることが明らかとなり、従来の統語論的分析だけでは説明しきれない例が多くあることが分かった点は意義深いことと思われる。さらに、久野氏と "Functional Syntax" の論文を執筆する中で、これまで提唱してきた「機能的構文論」のアプローチが日英語の諸構文を分析する際に統語論研究に対して重要な貢献ができることを示せたと考えられ、多くの成果を提示できたと思う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
5年間の本研究で考察を予定していた構文のほとんどに関して、著書や論文で取り上げることができ、大きな進展が見られたと思われる。そして、これらの構文の適格性、交替現象の理由などが、主に、純粋な構造的要因によるものではなく、意味や文脈、機能など、さまざまな非統語的要因に左右されていることを明らかにできた。このような進展が可能となったのは、共同研究者のハーバード大学名誉教授、久野すすむ氏との頻繁な議論、論文の執筆、そして直接会って討論を進めたことなどが理由であるが、合わせて、英語母語話者の Karen Courtenay 氏、Nan Decker 氏(ともに言語学 Ph. D.)の絶大な協力をあおげたことも重要な理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、5年間にわたる本研究の最終年度であり、これまでの研究の総括を行なう。 具体的には、まず、現在進めている擬似数量詞 too, also, even, only の修飾ターゲットに関する研究を仕上げ、これまでに執筆している副詞(句)、数量詞、副詞節などの諸研究と合わせ、本として出版することを予定している。また、「機能的構文論」の枠組みのもとで、さらに探求できる日英語の構文を取り上げ、できる限り多くの研究を進め、それらを論文の形でまとめるようにしたいと考えている。
|