2013 Fiscal Year Annual Research Report
様態性の尺度に視点を置く英語副詞配列の分析とその言語習得論的検証
Project/Area Number |
23520591
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 博雄 昭和女子大学, 人間文化学部, 教授 (50187754)
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Keywords | 英語副詞配列 / 叙述・修飾構造 / 様態規則 / 様態性の尺度 / 事象完結一時取消機能 / 結果構文 / 場面設定 / サスペンス効果 |
Research Abstract |
本課題研究期間全体を通して、1960年以降の英語副詞研究を、統語論的副詞論(副詞配置論、副詞認可論)と意味論的副詞論(機能論的副詞論、語彙意味論的副詞論、形式意味論的副詞論)に分類した上で、申請者の提唱する「様態性の尺度」という副詞の配列基準の妥当性を検証した。 具体的には、英語叙述・修飾構造に関する次の5点に関する知見を深め、その成果を論文等により公開した。①「様態性の尺度」と英語副詞配列傾向の相関、②様態副詞の結果用法と、結果構文における「結果」の概念の相違、③VP右方付加論に基づく文末状況副詞句配列の統語的妥当性、④副詞の多重主題現象及び補文中の副詞の文頭移動現象に主眼を置いた、文頭の状況副詞句生起条件、⑤文頭、文中央部、文末の状況副詞句(副詞的挿入句も含む)の「サスペンス効果」、についての研究を深めた。 研究計画最終年度には、本課題申請者が収集した用例や副詞研究文献で提示されている用例とその説明の対応関係が妥当なものであるか、ということについて、英語使用者(英語母語話者及び日本人上級英語使用者12名)を対象に、インタビュー及びアンケート調査を行った。結果として、英語副詞についての言語直観と、課題申請者が理論的に解明した内容との一致点及び相違点の導出に一定の成功を収め、結果として、日本人上級英語使用者の副詞的言語直観の獲得傾向は、意識的な文法学習量よりも自然な英語使用状況に接した時間量と相関するという結論を得た。同結論は、第2言語習得論における一般的仮説を間接的に検証したと言える。 本課題研究期間中、学会発表1件、論文7本(詳細は各年度実施状況報告書に記載)、研究書1冊(『英語副詞配列論』(ひつじ書房、2014.2))を出版し、その内容を広く学界、社会に発信し、英語叙述・修飾構造論の今後の展開に貢献するための基盤整備を図ることができた。
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