2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520593
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
三浦 弘 専修大学, 文学部, 教授 (00239188)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 英語方言調査 / スコットランド |
Research Abstract |
夏期にグラスゴー大学英語学科の研究者(特にグレアム・カーイ副学長とジェーン・スチュアートスミス準教授)のご協力を賜り、スコットランド英語の中部方言話者3名とスコットランド標準英語話者1名から、単語リストの読み上げ、及び、自然な会話の録音が収録出来ました。 滞英中には、グラスゴー大学、ストラスクライド大学、及びロンドン大学の音声学者やスピーチセラピストとのミーティングを連日のように開催して、有益な情報交換も出来ました。 録音データを音声分析することによって、該当方言の母音フォルマントを測定し、母音の音響ダイアグラムを作成しました。また、イントネーションに関して、スコットランド標準英語(SSE)話者のダイアログとモノローグを分析したところ、先行研究では、グラスゴー都市方言の特徴とみなされたRise-Slumpトーンが、グラスゴー在住のSSE話者では頻度が低いことがわかりました。また、その被験者の発話では、Mid-Levelトーンが全体の過半数を超えていて、Midトーンの頻出を確認しました。さらに、下降調のトーンでは、先行研究には、Low-Fall(中から低の下降調)とHigh-Fall(高から低の下降調)の2種類しかありませんでしたが、3種類目として、中位のトーンで終わる「高から中の下降調」が高頻度で見つかりました。この結果は、平成24年3月3日の日本英語音声学会中部支部大会で発表しました。また、調査に至るまでのスコットランド英語に関する研究の成果を平成24年6月2日に開催される日本英語音声学会全国大会のパネルディスカション(World Englishes)にパネリストとして参加し、多くの英語関係者に伝えさせていただく予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、スコットランド標準英語とスコットランド英語中部方言の音声が収録出来ました。純粋なスコットランド標準英語の話者(上位中流階級でスコットランド標準英語だけしか話せない話者)は、スコットランド英語(地域方言)の話者よりも見つけるのが難しいとわかりました。今後、他の地域の方言調査の際にも、適切な被験者が見つかれば、発音の収録を続ける予定です。 スコットランド英語中部方言についても、グラスゴー地域以外の同方言を収録したいと考えております。特にエジンバラの都市方言は、同地域であっても、グラスゴーとは異なるので、3年目(平成25年度)に、南部方言を調査する際に、エジンバラ地域も含めようと思います。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、予定通り、スコットランド英語の北部方言と島嶼部の調査を実施いたします。オークニー諸島とシェトランド諸島に数日ずつ滞在する予定です。島での収録には、大学の録音室のような設備がなく、また、事前に被験者の募集をかけることが出来ませんが、ただいま、イギリスの知人の研究者に連絡を取って情報を収集中です。 北部方言調査の拠点としては、昨年の調査でお世話になったグラスゴー大学の研究者から、アバディーン大学の歴史言語学者、ロバート・ミラー準教授を紹介していただき、アバディーン大学での私の受け入れをご快諾いただきました。偶然ですが、ミラー準教授には、Northern and Insular Scots というご著書もあるので、もう少しメールでの打ち合わせを詳細にしてから、調査の訪問予定を決定する予定です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
島嶼部での音声録音に備えて、現在使用しているものよりも高性能で、携帯可能な収録機器(ICレコーダー)が見つかれば、購入したいと思います。知人の雑誌記者にインタビュー業務で使用している機器を問合わせ中です(English JounalのCDの元音声収録用のもの)。 島嶼部へのフライト(諸島間の移動含む)は高額であり、滞在日数もある程度は必要なので、旅費が昨年以上にかかると思います。また、音声提供者への謝金は、昨年並みとしますが、自然な会話のスクリプト作成(文字起こし)に対する謝金は、昨年「安いのではないか」とグラスゴーの知人から指摘されたので、やや値上げの必要を感じます。また、島嶼部の方言については、普通のイギリス人研究者では文字起こしが出来ないので、適切な人を見つけて、それなりの謝金を考えなければならないと思っています。それについても、準備は始めており、現地で文字起こしが完成しなかった場合に備えて、国内にいるデイビッド・テーラー東京大学非常勤講師を先月友人から紹介していただきました。 以上のように、旅費と謝金が多く、それ以外に多少の物品費(資料費を含む)を使用したいと存じます。
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Research Products
(4 results)