2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520593
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
三浦 弘 専修大学, 文学部, 教授 (00239188)
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Keywords | 音声学 / 英語方言 / 発音変種 / 母音 / 二重母音 / 異音相違 / 音調 / スコットランド |
Research Abstract |
3回の現地録音調査を行った。母音では語彙リストを作成し,枠組文に入れて被験者に音読してもらい,子音では文リストを読んでもらった。イントネーションでは約4分間,自由に話してもらい収録した。 初年度はグラスゴー大学にてスコットランド中部出身者から収録し,音響分析や母音チャートを作成して,語彙リストの改善や調査地域を再精査した。2年目には,アバディーン大学における北東部出身者からの収録に加えて,オークニー諸島とシェトランド諸島にて,地元住民の協力を得て,ポータブルICレコーダでホテルの部屋等で同様に収録した。分析結果から北東部の母音の異音が地域ごとに非常に異なっていたために,中部地域においても方言比較のためには,被験者の出身地を限定する必要性を感じた。最終年度の調査では,クイーン・マーガレット大学とノーサンブリア大学の研究者に依頼して,グラスゴーとエディンバラの出身者だけを集めてもらい,収録調査を行った。 イントネーションについては,Mid-Levelと,HighからMidへの下降調が多用されていて,句末音調としてのMid音調が実在することが明らかになった。母音については,地域ごとの相違も傾向として明らかになったが,揺れもあり,スコットランドの広い範囲で「反方言化」が進行していることがわかった。 二重母音の分析中に興味深い発見があった。オークニー方言の一部の二重母音で母音の持続時間が短くなると予測された音声環境において,持続時間が長くなっていて,二重母音の第一要素と第二要素の持続時間の長さの比率が他の方言とは異なることもわかった。これは音声の具現化にかかわる音韻規則の適用法が異なるためであると思われる。まだ仮説の段階であるが,オークニー方言の二重母音には,「スコットランド母音長規則」の適用のみならず,BBC英語のような(後続の)「声帯振動効果」が優先して適用されるものがある。
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Research Products
(7 results)