2013 Fiscal Year Annual Research Report
障害データに基づいた「音韻知識」と「音韻意識」の研究
Project/Area Number |
23520594
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
都田 青子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90256024)
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Keywords | 音韻意識 / 音韻知識 / 有標性 |
Research Abstract |
本研究では、障害児のデータを健常児のものと比較しながら、有標性の観点からデータを整理、分類し、音韻発達評価基準法の確立に役立つ基礎資料を提供することを目的としている。 本プロジェクトの開始年度である平成23年度では、日本語の障害データに焦点を当て、健常児の音韻獲得データと比較しながら「音韻的」観点から研究を行なった。その結果、一般的に音韻操作能力が際立って劣るとされているダウン症児も、課題語を十分に精査することで、健常児と類似した韻律構造上の上位層の知識/意識を有していることが示唆されるような結果が得られた。 プロジェクト2年目の平成24年度では、韻律構造上の「フット」と他の韻律レベルとの関係をより明確にするため、小学生対象の逆唱実験を実施した。その結果、小学低学年児であるほど、フット、音節境界の一致、不一致の影響を受けているエラーが多く観察された。また、特殊モーラのエラー・パターンを分析したところ、課題語のモーラ数によってその傾向が異なることが明らかとなった。4モーラ語の場合、小1、小6ともにJ>>R>>N>>Qという順で正答率が高かったが、3モーラ語では、小1はQ>>N>>R>>Jであるのに対して、小6はQ>>N>>R>>Jの順となった。この違いはまさにフットと音節の一致、不一致の影響を反映しているものと解釈することができ、日本語獲得中の母語話者の音韻意識の中では、モーラ以外にもフットや音節が働いていることを示唆する結果といえる。 プロジェクト最終年度の平成25年度では、音韻発達評価基準法の確立に役立つことを目的として、子どもにもわかりやすく学習できるような調音器官の3D教材システムのプロトタイプを完成させた。
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Research Products
(8 results)