2011 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害学生の英語発音指導のための点字式発音記号や音調符号および教材開発
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23520596
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
都築 正喜 愛知学院大学, 教養部, 教授 (50106019)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 凹凸式表記 / 視覚障害学生支援 / 英語発音指導法研究 / 点字式発音記号開発 / 点字式音調符号開発 / 点字と記号併記教材 / 凹凸記号符号印刷 |
Research Abstract |
平成23年度は、(1)理論面では、先行研究結果を踏まえ、英語の「発音記号点字」や「音調符号点字」に代わるものとして、発音記号やリズム記号、イントネーション符号をそのままの型で凹凸により点字化して、指先で触れる方法、即ち、先行研究において考案した凹凸のある発音記号やイントネーション符号を確定し、研究依頼先にて有効性を積み重ねた。ただし、符号作成に当たっては、従来のIPAに基づくものから有効活用できるものに簡略化し、生徒の負担を軽減し、制限を加えてほぼ体系化を完成した。(2)ハード面では、発音記号や音調符号をそのまま点字化して凹凸に印刷できる専用プリンターの開発について事業所との事前相談で、試作機の交渉にはある程度の道筋ができた。金額的な問題を除けば技術的にはそれほど困難ではない。また、パソコン本体とキーボードの改良についても、技術的には見通しができた。ただし、限られた予算の中では、試作機が高額になる心配があるが、これは次年度以降、種々に交渉を重ねて行く。(3)一方、ソフト面では、新たに開発した凹凸のある点字式発音記号やイントネーション符号を点字英文に併記した教材、「視覚障害学生のための点字式発音記号併記教材」(CD付き、和訳、教師用解説書付き)を刊行すべく出版社と打ち合わせを行った。その結果、テキストは、都築正喜著『英語のイージーリスニングとディクテーション』を採用する。その中で学生に好評である5作品を選定した。トピックスは、"南極物語"、"海の賢者:イルカ"、"女性と化粧"、"ピサの斜塔"、"列車での小旅行"を確定した。英文はほぼそのまま採用し、速度を加減して録音する。音声記述を加えて指導書の作成に取り掛かった。CDの完成は次年度以降となった。以上の成果は、日本英語音声学会の大会や支部大会、中部支部・研究部会やシンポジウムにて積極的に公開した。海外・国内研修を行い、成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、先行研究結果を踏まえ、(1)理論面では、発音記号やリズム記号、イントネーション符号を有効活用できるものに簡略化し、制限を加えてほぼ体系化を完成できた。(2)ハード面では、発音記号や音調符号をそのまま点字化して凹凸に印刷できる専用プリンターの開発と、パソコン本体とキーボードの改良についても、技術的には見通したが立った。ただし、開発期間が1年~1年半と限られているため、時間的な制約を解決することが急務となった。次年度以降、ハード面で3点:プリンター・パソコン本体・キーボードの試作機それぞれが高額になり予算内で収まらない心配がある。従って、試作機開発の機種を絞る必要も視野に入れている。(3)一方、ソフト面では、新たに開発した凹凸のある点字式発音記号やイントネーション符号を点字英文に併記した教材、「視覚障害学生のための点字式発音記号併記教材」(CD付き、和訳、教師用解説書付き)の出版社との打ち合わせを行った結果、新たにテキストを書き直すのではなく、都築正喜著『英語のイージーリスニングとディクテーション』を採用し、簡略化をはかることとした。録音に当たっては、時期、場所、および、外国人話者の報酬などを交渉する課題が残った。音声記述に加えて、教師用解説書と日本語訳に取り掛かった。この特殊な凹凸表記を英文点字に併記した新しいリーディング用教材と並行して、2編の会話よりなる、上級用の英会話教材も執筆した。すでに、すべての英文に音調表記を完成した。(4)こうした成果は、日本英語音声学会の大会や支部大会、中部支部・研究部会やシンポジウム、日韓合同英語音声学セミナー(ソウル大学)にて積極的に公開し、情報の発信を行った。海外視察・国内研修を行い、成果を報告した。以上を総括して、平成23年度は研究がおおむね順調に進展しているとの結論に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、(1)理論面では、平成23年度の研究および、それ以前の先行研究を実証しつつ理論的研究を体系的・総合的に継続する。(2)ハード面では、パソコン本体、キーボード、凹凸に印刷できる専用プリンターの試作機について、不具合を調整し、完成させ、実用化の目途を立てる。ただし、金額的な面において、予算内で収まるよう交渉を重ねる。開発の時間が限られているため、試作機の3点のうち、優先順位を決めて開発を依頼する。これら試作機の開発にさらに数年を有することも視野に入れて、研究の効率化をはかる。(3)同時に、ソフト面では、凹凸のある点字式発音記号やイントネーション符号を点字英文に併記した、視覚障害のある学生のための英語補助教材を完成させる。「視覚障害学生のための点字式発音記号併記教材」(CD付き)である。テキストのモデルは、都築正喜著『英語のイージーリスニングとディクテーション』、朝日出版、2009、である。その中で学生に好評である5作品を選定する。トピックスは、"南極物語"、"海の賢者:イルカ"、"女性と化粧"、"ピサの斜塔とイタリー紀行"、"列車での小旅行"を取り上げる。教師用解説書と日本語の訳、およびCDも完成させる。さらに、「視覚障害学生のための点字式発音記号併記教材」の録音を行なう。さらに、以上とは別に、上級用の英会話教材も2編完成させ、研究協力校にて検証を得る。吹き込みは、M. Ashby 博士(ロンドン大学准教授)とJ. House 女史(ロンドン大学上級講師)に依頼したものである。すでに両氏からは本研究への了解を得ている。研究成果を日本英語音声学会の大会や支部大会、日韓合同英語音声学セミナー(ソウル大学)、中部支部・研究部会やシンポジウムにて積極的に公開し、情報の発信を行い、啓もう活動を活発に展開する。海外視察・国内研修を積極的に行い、成果を報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、交付予定額、総額1,800,000円を以下の内容にて使用の予定。物品費として、パソコン本体、キーボード、凹凸に印刷できる専用プリンターの試作機を製造するための関連諸経費:1,000,000円。旅費として、日本英語音声学会の全国大会や支部大会、日韓合同英語音声学セミナー(ソウル大学)、ハード機器メーカー、新たに開発した凹凸のある点字式発音記号やイントネーション符号を点字英文に併記した教材、「視覚障害学生のための点字式発音記号併記教材」(CD付き)・「上級英会話教材2編」(CD付き)を印刷するための出版社等への旅費として:600,000円。「視覚障害学生のための点字式発音記号併記教材」、および英会話教材等への録音を行なうための吹込み者への謝金として:140,000円。その他:60,000円
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Research Products
(5 results)