2012 Fiscal Year Research-status Report
視覚障害学生の英語発音指導のための点字式発音記号や音調符号および教材開発
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23520596
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
都築 正喜 愛知学院大学, 教養部, 教授 (50106019)
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Keywords | 特殊英語音声教育 / 視覚障がい学生支援 / 点字式発音記号開発 / 点字式音調符号開発 / 英文点字と記号併記 / 凹凸記号・符号印刷法 |
Research Abstract |
平成24年度前半は、前年度の研究成果を継続し、中学部・高等部に在籍する視覚障がいのある学生のための英語補助教材とする英文を完成させた。テキストは、都築正喜著『英語のイージーリスニングとディクテーション』、朝日出版、2009、から、“海の賢者:イルカ”、“ピサの斜塔”、“列車での(イギリス)小旅行”の3編を題材に平明に書き直した。これらの英文を、イギリス人教師に吹き込みを依頼し、カセットテープからCD化を行った。発話スピードも視覚障がいのある学生が、点字の記号や符号を触りながらの学習を前提に、緩急を2段階に調整した。平成24年度後半は、点字プリンター(アメディア・ロメオ・アタッシュ)と点字編集ソフト(EXTRA Ver.5.1)を都築研究室に設置し、パソコン本体、キーボード、凹凸に印刷できる専用プリンターを試作し不具合を調整した。新たに開発した凹凸のある点字式発音記号や音調符号を点字英文に併記できる方法を試みた。しかし、点字枠と記号枠の対応がずれるため、次年度は完成度を高める必要がある。学会発表としては、日本英語音声学会中部支部・英語教育イントネーション研究例会を、平成25年2月23日(土)、愛知学院大学日進キャンパスにて開催し、研究協力者の神谷厚徳准教授(岩手県立大学)らと成果を2編公表した。次いで、日本英語音声学会・中部支部第20回記念大会を『英語音声学と関連特殊教育研究』を大会テーマとして、平成25年3月3日に東北・北海道支部と共催し、その中で、『学習支援を必要とする学生への英語教育と応用音声学―理論・課題・提案・(実績報告)―』をテーマとするシンポジュームを設けた。提案者は都築、他であった。会場は、 愛知学院大学大学院・サテライトセンター(名古屋市中区栄4-1-1中日ビル)で行った。論文としては、関連領域について、本年度、おもなものとして単著3編を執筆し公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度前半は、点字式凹凸記号と音調符号、例えば、イントネーション符号に関しては、(高下降)、(低上昇)に限定し、強低位置・強中位置・強高位置および、弱低位置・弱中位置・弱高位置は、それぞれ、そのまま凹凸により、点字式にプリントアウトできるように開発した。強勢符号は強弱2種類を当てた。これらを併記すべき英語補助教材とする英文を完成させ、録音とCD化を完成させた。点字プリンター(アメディア・ロメオ・アタッシュ)と点字編集ソフト(EXTRA Ver.5.1)を都築研究室に設置し、自動点訳・点訳支援プログラムの導入と並行して、具体的な印字方法の考案に挑戦した。特に、現場にて採用しやすく、また、利用も簡便な方法を確立し、点字プリンターと点字編集ソフトの導入により凹凸の印字面でも成果を挙げた。学会発表としては、日本英語音声学会の中部支部研究会において、口頭発表2編、さらに、『英語音声学と関連特殊教育研究』をテーマとした同学会中部支部研究大会において、シンポジュームを開催し、視覚障がいのある学生への英語音声特殊教育の分野において、啓発活動を積極的に展開した。論文としては、関連領域について、本年度、単著3編(いずれも、愛知学院大学教養部紀要、第40巻第1号、2012、3号、4号、2013)、および共著3編(日本英語音声学会刊行、学術論文集『英語音声学』第17号掲載、2012)を執筆した。なお、日本英語音声学会会長として、学会会報、他において、特殊支援教育プログラムの必要性とそのために、特別な音声訓練を受けた「音声教育士」(外国語教育分野において)の育成の必要性を繰り返し強調した。このように、研究成果の公表と啓発活動においては、計画どおり、順調に成果を挙げ達成度を高めた。 以上を総括して、平成24年度は、研究がおおむね順調に進展し、ほぼ研究の目的を達成してる、との結論に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度前半は、1年次・2年次に取り組んだ研究と実践を継続し、移行したのち修正を行う。例えば、ハード面では、昨年度、都築研究室に設置した、点字プリンターと点字編集ソフトの性能を高め、パソコン本体、キーボード、凹凸に印刷できる専用プリンターとの不具合を修正し、安定度と完成度を高める。ソフト面では、都築が編集した、「視覚障がい学生のための点字式発音記号・音調符号併記教材」を現場に応用できるように、ロンドン大学の准教授、マイケル アッシュビ先生に音声学専門の立場から校閲を依頼する。特に、イントネーションの曲線表記を校正して頂く。(視覚障がいのある学生への英文併記については、すでに平成24年度後半までに完成している。)平成25年度後半は、ソウル大学のH.B. Lee 名誉教授とH.Y. Lee教授らとともに、従前から協力を依頼している、国立ソウル盲学校、他で実際に使って頂き、学習成果を確認する。その時、凹凸を指で触りながら、同時に音を確認し、声に出して発音し、聴く力と話す力を飛躍的に伸ばすための教授法の改善と教材の改良を行う。同時に、視覚障がいのある学生の発音を録音したデータを集積し、サウンドスペクトログラフで音響学的に分析し、学生の上達度を記録すると同時に視覚化を実行する。こうした、客観的なデ-タをもって、点字式発音記号・音調符号を通常英文テキストに併記した教材の有効性を実証する。収集したデータに音声学的考察を加え、理論構築を行う。学会発表と論文発表を基軸とした、研究成果公表と啓発活動は、過去2年間と同様に、日本英語音声学会の学術論文集『英語音声学』、学会全国大会・支部研究大会・研究例会・シンポジュームをはじめ、学会会報、他において、視覚障がいのある学生への英語音声特殊教育の分野に特化して、最終年度を意識した啓発活動を積極的に行い、全国展開をし、3か年間の研究の集大成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ロンドン大学への出張に300,000円を予定している。ソウル大学への出張に120,000円を予定している。国内出張に4回、各4万、計160,000円、論文投稿料に30,000円を予定している。129,100円を物品費に予定している。(総額、739,100円)
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Research Products
(6 results)