2012 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語音声に関するリンガフランカ中心特性の特定
Project/Area Number |
23520597
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
都築 雅子 中京大学, 国際教養学部, 教授 (00227448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 由里 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20455059)
奉 鉉京 信州大学, 全学教育機構, 准教授 (50434593)
山添 直樹 名城大学, 大学教育開発センター, 講師 (00555641)
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Keywords | 日本人英語 / リンガフランカ / インテリジャビリティ / 発音 / 超分節特性 / 分節特性 |
Research Abstract |
本研究は「アジアのリンガフランカとして、日本語母語話者の英語音声面における中心特性(コミュニケーションの阻害要因に関わる特性)の確立」を目的としている。 目的に鑑み、今年度は、昨年度行った分析(日本人英語に慣れていない英語母語話者ミシガン大学学生23名による日本人理系研究者英語音声の聴き取り実験の結果を分析し、日本人英語に慣れている英語母語話者である日本の大学で英語教歴7年以上の英語教員10名)による実験結果と比較した。結果は「第17回国際英語学会」で."Perceptive and Acoustic Analyses of Japanese Accents from the Perspective ofIntelligibility.”の題目で発表。)をさらに精緻に分析・考察した。最終結果を学会で発表し(ELF 6 at Roma Tre University 2013/9/4-7)、論文にまとめる予定である。 また、日本人英語に慣れている英語母語話者による聴き取り実験の結果(成果は第14回国際英語学会で発表)について、さらに詳細に考察し、音声分析可視化ソフト(スギアナライザー)による分析を加え、論文にまとめた。 また宮武香織氏(北海道武蔵女子短期大学非常勤講師・San Francisco State University大学院でVoice Disordersに関する修士号取得者)による英語発音法の授業を見学し、意見交換を行うなど、「日本語母語話者の英語発音の矯正訓練方法」について考察を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人英語に慣れている英語母語話者と慣れていない英語母語話者をそれぞれ対象とした聴き取り実験の結果を比較し、分析・考察したことにより、日本人理系院生の英語音声の中で特に日本人英語に慣れていてもコニュニケーション阻害要因となる特性と慣れてくると阻害要因でなくなる特性とを峻別することができた。すなわち英語母語話者とのコミュニケーションにおいて阻害要因となる中心特性の精緻化をはかることができた。ただし、論文としてまとめるにあたり、より詳細な分析・考察を行っており、当初、予定していたよりも、多くの時間がとられている。 そのため、次の段階の実験の着手が少し遅れ気味である。次の段階では、英語を母語としない話者(例えば韓国語母語話者、中国語母語話者)を対象とした聴き取り実験を行い、非母語話者とのコミュニケーションにおいて阻害要因に関わる特性を特定する予定である。「リンガフランカとして、日本人英語の音声面における中心特性(コミュニケーションの阻害要因に関わる特性)の確立」という研究目的達成のためには、英語母語話者を対象とした聴き取り実験に加え、英語を母語としない話者を対象とした聴き取り実験を行い、非母語話者とのコミュニケーションにおいても阻害要因に関わる特性は同じであるかを探る必要があるからである。今後、既に行われた英語母語話者を対象とした聴き取り実験方法を精査した上で、あらたに非英語母語話者を対象とする聴き取り実験のデザインを立案し、実験を行う予定である。都築、西尾に加え、韓国語母語話者で第二言語習得研究者である奉鉉京の3名で、実験を立案し、その後、都築・奉が韓国の大学で、聴き取り実験を行うつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、主に3つのことを行う予定である。 第一に、第17回国際英語学会で発表した分析・考察結果(現在、さらに詳細に分析・考察中)を論文にまとめ、学会誌に投稿する。都築、西尾、奉の3名で行う。 第二に、英語母語話者を対象とした実験結果により峻別できたインテリジャビリティに関わる中心特性について、別の観点から、検証し、研究の精緻化・一般化をはかる。日本人英語音声の一部を人工的に変換し、ミニマルペアの音声をつくり、両者の聴き取り実験を行う。山添が担当する。 第三に、聴き取りの対象を非英語母語話者に広げることにより、非母語話者とのコミュニケーションにおいて阻害要因となる中心特性を抽出する。まずは都築、西尾、奉で非英語母語話者を対象とする聴き取り実験のデザインを立案する。その後、都築と奉が韓国の大学へ出向き、韓国人学生を対象に聴き取り実験を行う。聴き取り実験は下記の手順で行う予定である。聴き取り実験被検者を選抜(TOEIC600点以上など)した上で、各実験で聴き取り被検者20名に対し10の音声サンプル(1文はダミーとして英語母語話者音声をまぜる)を聴かせて転記(計3回、1回目黒字で、2回目赤字で、3回目青字で)、その後に理解度の五段階評定および項目別要因評定をしてもらう。実験結果を分析・考察し、中心特性を抽出する。最終的には英語母語話者を対象とした中心特性と比較しながら、日本人英語の中心特性を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一昨年度に学会発表した暫定的な分析・考察を、さらに詳細に分析・考察するのに手間取っていたため、昨年度は、その研究結果を海外の学会で発表することができなかった。この理由で、昨年度残った旅費を、今年度、学会で発表するのに使用する予定である。 また分担者の西尾が、購入予定だったコンピュータの性能面を考慮し、本年度は現在手持ちのものできりぬけ、購入を次年度に伸ばした。次年度、コンピュータを購入のための物品費を計上する。 さらに韓国で聴き取り実験を行うため、旅費を計上する。実験の分析・考察するために消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(13 results)