2011 Fiscal Year Research-status Report
英語を中心とする多音節語句・表現の音声・音韻的研究
Project/Area Number |
23520602
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山田 英二 福岡大学, 人文学部, 教授 (20166698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 忠男 福岡大学, 人文学部, 非常勤講師 (80071653)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際情報交流(アメリカ合衆国) / 国際情報交流(連合王国) / 音声 / 音韻 / 多音節語句・表現 / プロソディー / 強勢 / ソノリティ |
Research Abstract |
(1)各種英語音声資料の収集、(2)国外の専門研究者との情報交流、(3)論文発表、招待講演を行った。 (1)に関しては、山田が米国ボストンに赴き、様々な場所で英語の多音節語句・表現の収集を行った。一方、村田が英国に赴き、多くの出身地の英語話者が集まるロンドンを中心に、英語音声資料の収集(直接録音、放送からの録音、パソコンでの音声ファイル収集など)を行った。 (2)に関しては、山田が米国マサチューセッツ工科大学(MIT)を訪れ、言語学の最先端を走る数多くの研究者と面会し、多音節語句・表現に関する議論及び情報交換交流を行った。具体的には、言語学・哲学科のShiegru Miyagawa、Donca Steriade、Adam Albright、Noam Chomsky、Michael Kenstowicz、Morris Halle各教授と面会し、本研究の基となっている「新理論」(Yamada (2010))の妥当性に関して、議論を行うとともに、生成文法理論の最新の理論展開について新たな知見を得ることができた。これらの研究者とは次年度も再会し、更に意見を戦わせる予定である。一方、村田は、現在英国にて、現役で活動中の最も著名な音声学者の一人である英国レディング大学のJane Setterと面会し、各種の英語に関する貴重な情報を収集し、議論を行うとともに、次年度も再訪して、議論を継続し、国際英語等の両者に関連のあるテーマについて、共同研究の可能性を引き続き、検討することとなった。 (3)に関しては、山田が論文"A New Account of Subsidiary Stresses in English Words"(査読付き)を発表し、村田が、"RP, GA, Amalgam English or International English?"と題し、国際会議で招待講演を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、英語及びその他の言語の「多音節語句・表現」に現れる「プロソディー」とそれに関わる「各種の音声・音韻現象」を、研究代表者が提案している「新理論」(Yamada(2010))で捉え直し、その複合的仕組みを解明するとともに、世界語としての多様な英語の分析を開始するための糸口を探ることにある。 この目的を達成するため、本年度は、実際の各種英語音声資料の収集を積極的に展開した。すなわち、研究代表者(山田)は米国ボストンへ、研究分担者(村田)は英国ロンドンへ出張した。ボストンは米国建国以前より幾多の移民を受け入れ、発展してきた街である。また、ロンドンは、いうまでもなく、世界の英語の本拠地であり、今も多くの出身地の英語話者が集まる街である。この両都市にて、直接英語音声資料を収集する意義は大きい。本研究に必要な英語の「多音節語句・表現」に関しては、収集に要する時間的制約のため、まだまだ資料としては不十分であり、次年度も収集作業を継続する必要がある。 本研究の開始年度である本年度に、米国及び英国の一流研究者と直接的に国外情報交流及び討論をする機会を持つことができ、かつ次年度においても、それらの交流、討論を続けることが可能となったことは、重要な収穫といえる。 本研究の基となる「新理論」に関しては、本年度に行った専門研究者との国外情報交流により、米国MIT図書館に当該図書『Subsidiary Stresses in English』(Yamada(2010))が配備され、当地での当該研究に寄与できるようになった。また、国内では、主要専門研究誌である『英文学研究』(日本英文学会)に当該図書に対する書評論文が掲載されるなど、国内外にて、当該研究に対する研究者間の情報交流及び討論の機会が増えつつあるという周辺事情から判断しても、本研究の進展はおおむね順調であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、平成23年度に引き続き、現地調査や資料収集で得られたデータや知見を基にして、英語の主強勢配置メカニズムの理論的解明に取り組み、それについて研究発表を行い、論文を作成する、と同時に、World Englishesとして英語を分析するための予備的研究を始める。また、英語を中心とした「多音節語句・表現」の「プロソディー」分析を推し進め、本理論の検証に努めるとともに、本理論が英語の強勢や他言語のアクセントのみならず、それらと密接な関係を持つソノリティ、調音可能性ハイエラーキ、音節構造、オノマトペ、連濁、OCPなどの各種の「音声・音韻現象」とどのように関連付けられるかという観点において更なる調査・研究を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も、本年度に引き続き、米国や英国など諸外国における現地調査、資料収集、及び専門研究者との国外情報交流を継続する。このような英語圏への現地調査は、英語及びその他の言語の「多音節語句・表現」の「プロソディー」分析を目的とする本研究の遂行のためには必須のものといえる。そのための調査研究、資料収集、国際情報交流用旅費として本年度と同額の研究費が次年度もぜひとも必要となる。
|
Research Products
(2 results)