2012 Fiscal Year Research-status Report
英語を中心とする多音節語句・表現の音声・音韻的研究
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23520602
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山田 英二 福岡大学, 人文学部, 教授 (20166698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 忠男 福岡大学, 人文学部, 非常勤講師 (80071653)
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Keywords | 強勢 / 多音節語句・表現 / 音韻 / 音声 / 英語 / 国際情報交換(ロンドン) / 国際情報交換(ボストン) / プロソディー |
Research Abstract |
本共同研究に必須の各種英語音声資料の収集を昨年度に引き続き行い、各種の研究活動を行った。 各種英語音声資料の収集に関しては、研究分担者(村田)が、英語の音声、それも世界各地で使用される様々な特徴を持つ英語の音声を、各地の出身者が集まるロンドンを中心に収集するとともに、各種メディア上の生きた英語音声に触れ、英語の多音節語句・表現の特徴を調べた。今年度もレディング大学の音声学者Jane Setter氏と連絡を取り、面会して、意見交換、討論を行った。 論文発表、研究発表、招待講演に関しては、研究代表者(山田)が次に記すような活動を行い、その発表を基にした世界の多くの研究者との討論により、本研究課題を掘り下げ、更なる問題点をあぶりだすことができた。 1.(論文)"Main Stress Assignment in English Words," JELS 30, 229-235, 2013年 2.(翻訳)「モダン・ディベート--その理論と戦略--(III): 「should」の意味、論理的定義の獲得、誤った定義への対処法、両義性」、福岡大学研究部論集A: 人文科学編12(4), 89-94, 2013年 3.(報告書)「音声学・音韻論の研究--英語学・英米文学・英語教育各界の回顧と展望]、英語年鑑2013, 40-42, 2013年 4.(招待講演) "Stress Assignment in English Words: A Preliminary Analysis," TCP(東京大学), 2012年 5.(招聘発表) "Main Stress Assignment in English Words," 日本英語学会第30回全国大会(慶応義塾大学), 2012年 6.(招待講演)「ことばの仕組み」、福岡大学大学院英語学英米文学専攻創立30周年記念式典(福岡大学)、2012年
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、英語及びその他の言語の「多音節語句・表現」に現れる「プロソディー」とそれに関わる「各種の音声・音韻現象」を、研究代表者が提案している新理論(Yamada (2010))で捉え直し、その複合的仕組みを解明するとともに、世界語としての多様な英語の分析を開始するための糸口を探ることにある。 この目的を達成するため、昨年度は実際の各種英語音声資料の収集を積極的に展開した。研究代表者(山田)は米国ボストンへ、研究分担者(村田)は、英国ロンドンへ出張した。更に、研究分担者の村田は本年度もロンドンへ出張し、継続して資料収集や音声学者との情報交換を続けた。このように、英語の本場である米国と英国に出張し、資料収集を行うとともに、世界の一流研究者と直接に国際情報交換及び討論をする機会を持てたことは、本研究の遂行において、大きな収穫となっている。 以上の活動の成果として、上記「研究実績の概要」に記したように、今年度は6つの論文、発表、講演などを発表・遂行することができた。以下、主なものを略記する。1."Main Stress Assignment in English Words," JELS 30, 2013年 2.「音声学・音韻論の研究--英語学・英米文学・英語教育各界の回顧と展望]、英語年鑑, 2013年(以上、論文等) 3."Stress Assignment in English Words: A Preliminary Analysis," TCP(東京大学), 2012年 4."Main Stress Assignment in English Words," 日本英語学会第30回全国大会(慶応義塾大学), 2012年 5.「ことばの仕組み」、福岡大学大学院英語学英米文学専攻創立30周年記念式典(福岡大学)、2012年 故に、本研究の進展はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、平成23、24年度に引き続き、現地調査や資料収集で得られたデータや知見を基にして、英語の強勢配置メカニズムの理論的解明に取り組み、それについて研究発表、論文を発表する、と同時にWorld Englishesとしての英語を分析するための予備的研究を推し進める。 また、英語を中心とした「多音節語句・表現」の「プロソディー」分析を開始し、本理論の検証に努めるとともに、本理論が英語の強勢や他言語(特に日本語など)のアクセントのみならず、それらと密接な関係を持つソノリティ、調音可能性ハイエラーキ、音節構造、オノマトペ、連濁、OCPなどの各種「音声・音韻現象」とどのように関連付けられるかという観点から、調査・研究を進めていく。 更に、英国ロンドン、米国ボストンだけでなく、米国南部アトランタの英語の発音及び、いわゆるネットワークイングリッシュと言われるメディアの英語の発音にも調査・研究領域を拡げていく。 本研究で明らかになりつつあることの一つに、World Englishesをパラメーターの観点からどのように捉えるかという点がある。多様な英語の音声・音韻を追及するなかで、多様な英語の発音形態の詳細な分析に加えて、それらに共通する基盤(基準)となるものを確定する必要性が明らかとなってきた。Yamada(2010)においては、Data Clarification Methodという方法を用い、5種類の英英辞典の記述を一語一語比較検討しながら、データの確定を行った。しかし、このような方法により確立された理想的なデータの実在性という問題点が今年度後半に浮上した。この問題を解決するため、テレビ・ラジオなどの実際の報道メディア関係者に接触し、ネットワークイングリッシュの資料を直接収集し、検証する必要性が生じた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成25年度)韓国ソウルで開催される国際学会「2013 International Conference on English Linguistics」(平成25年7月2日から7月7日まで)での研究発表(研究代表者、山田)が本年度の1月に決まったため、そのための費用(旅費)として今年度分の一部を使用する。 また、山田は、上記「今後の研究の推進方策」で述べたように、米国南部のアトランタ(CNNニュースの本拠地)を新たに訪問し、米国南部英語の現地調査や資料収集を行うとともに、アトランタ在住の元CNNテレビのニュースアンカーなどの複数の関係者と面談し、直接取材を行い、本研究で使用する英語の語彙を発音してもらい、録音する。この録音された英語音声(ネットワークイングリッシュ)が、本研究の出発点である山田による新理論に用いられたデータを支えることができるのかどうかが今後の研究の方向を左右することになる。 このための適正な複数のメディア関係者との接触、交渉、連絡、先方と当方とのスケジュール調整等の関係上、本年度分の研究費(旅費)の一部をやむなく来年度に回さざるを得なかった。更に、山田は2014年1月にヨーロッパで開催される国際会議「The 11th Old World Conference in Phonology(OCP 11)」での研究発表を予定している。また、昨年度(平成23年度)と同様に、米国ボストンを再訪し、現地調査や資料収集を継続するとともに、当地の研究者との国際情報交換も継続する。 研究分担者(村田)は、本研究の最終年度である本年度も当初の計画通り英国ロンドン等を再訪し、平成23年度、平成24年度での現地調査でカバーしきれなかった部分の補完に努める。
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Research Products
(6 results)