2013 Fiscal Year Research-status Report
言語変化と複雑適応体系ー英語の史的発達に於けるネットワークと曖昧性に基づいて
Project/Area Number |
23520605
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
小倉 美恵子 鶴見大学短期大学部, 歯科衛生科, 教授 (60074291)
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Keywords | 複雑適応体系 / 語彙体系 / ネットワーク / 曖昧性 / 語順進化 / 回帰性 / 多義語 |
Research Abstract |
複雑適応体系に内在する基本原理の観点から、1 語彙体系の歴史的発達とsmall-world network の関係を探る。2 光トポグラフィーを用いて、言語進化における曖昧性の排除と脳の機能を明らかにする。 1 語彙体系の歴史的発達とsmall-world network: Historical Thesaurus of the Oxford English Dictionary (Christian Kay et al., Oxford, 2009)の全動詞について、古英語、中英語、初期近代英語、近代英語及び現代語のdatabaseを作成し、単義語に多義語が加わることにより、語義間の意味が緊密になるsmall world network が形成されることを明らかにした。さらに各時代での語義体系の中で、普遍的な概念構造から生じた可能性の高い語は多義語であり、語彙の樹状構造の根幹部を形成していることを実証した。 2 曖昧性の排除と言語進化:古英語の談話構造と結びついた統語構造が、中英語の緊密な統語構造へと変化することに伴い、時制と相がどのように進化したかを、曖昧性の排除という観点から、光トポグラフィーを用いて脳の機能との関係から明らかにした。古英語以前は時制と相が絡み合い、曖昧性を排除するため記憶を司る部位が左右の脳で活性化した。中英語以降は曖昧性を排除するため進行形、完了形が発達し、相は左脳に局所化したことを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1語彙体系の歴史的発達とsmall-world network 古英語、中英語、初期近代英語、近代英語及び現代語の語義体系の中で、普遍的な概念構造から生じた可能性の高い語は多義語であり、語彙の樹状構造の根幹部を形成していることを実証した。調査は動詞を対象としたが、さらに結果を確証するため、形容詞についてHistorical Thesaurus of the Oxford English Dictionary に基づいて分析を始めた。 2 曖昧性の排除と言語進化 時制と相がどのように進化したかを、曖昧性の排除という観点から、光トポグラフィーを用いて脳の機能との関係から明らかにした。古英語以前は時制と相が絡み合い、曖昧性を排除するため記憶を司る部位が左右の脳で活性化した。中英語以降は曖昧性を排除するため進行形、完了形の発達し、相は左脳に局所化したことを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
1語彙体系の歴史的発達とsmall-world network 各時代での語彙体系の中で、普遍的な概念構造から生じた可能性の多い単語(脳が言語を形成する)と、他方言語が概念構造に影響を与えた可能性の多い単語(言語が脳を形成する)に分類する。脳と言語の相関関係が語彙の樹状構造をどのように構成しているかを明らかにする。 2 曖昧性の排除と言語進化 時制と相、法、冠詞、格、一致、埋め込み文などの文法形態の進化を、曖昧性の排除という観点から、脳と言語の相関関係の中に考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の成果を発表する2年毎に開催されるEvolution of Languageの国際学会は通常3月に行われるが、今回は4月に行われることになり、未使用額が生じた。また25年度に行った光トポグラフィーによる実験が予算額より少額で行うことができ未使用額が生じた。 このため、4月の国際学会で論文を発表するための海外出張費に未使用額を充てることとしたい。また23-25年度に行った分析は動詞を対象としたが、結果を確証するためには形容詞についても分析を行う必要があるので、未使用額をその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Evolution of Tense and Aspect2014
Author(s)
Mieko Ogura, Takumi Inakazu, William S-Y. Wang
Organizer
10th International Conference on the Evolution of Language
Place of Presentation
University of Vienna, Austria
Year and Date
20140414-20140417
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