2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520608
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅谷 奈津恵 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (90434456)
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Keywords | 第二言語習得 / 文法 / 動詞形態素 / テ形 / 反応時間実験 / 台湾人学習者 |
Research Abstract |
テ形やナイ形などの動詞活用は日本語教育において、重要な学習事項とみなされるている。動詞活用の習得とそのメカニズムを明らかにするという本研究の目的に従い、以下のように理論的研究とデータ収集・分析、及び、発表を行った。 (1)国内外の先行研究から、これまでに行われた動詞形態素に関するオンライン実験、オフライン実験の成果を検討した。その成果の一部は、東北大学・タマサート大学大学間学術交流協定締結記念国際シンポジウムにおいて講演を行った。 (2)学習者言語の変化をみるために,中国の学習者を対象として、留学1ヶ月前と7カ月後の2回,実在語・造語動詞の活用テストを実施した。分析の結果,実在語テストでは留学前後で有意に得点が伸びていたのに対し,造語テストについては有意な伸びがないことがわかった。こうした結果には,ルール適用型か項目学習型かの個人差が影響した可能性があり、個人差は造語動詞で顕著であることがわかった。以上の成果は、日本語教育学会研究集会において発表を行った。 (3)前年度に台湾人学習者を対象として実施した動詞テ形の判断実験について、データ分析を行った。その結果、学習者はいずれの動詞タイプでも正確に判断できるが、反応時間には活用タイプにより違いがあることがわかった。以上の成果は、第2言語習得研究会(関東)において発表を行った。 (4)3の成果を踏まえ、実験方法について調整を行った上で、日本語母語話者・台湾人学習者を対象に、動詞テ形の判断実験を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的に従い、平成24年度は、日本語母語話者、日本語学習者を対象とした実験を実施した。また、これまでに収集したデータについて着実に分析を進め、口頭発表を行った。その際には、日本語教育関係者から有益なフィードバックを受け、今後の研究方針への示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度、24年度に得られた結果を基にして、以下のように研究を継続する。 (1)収集したデータの分析を進め、動詞活用において学習者がどのような方略を取っているか、また、それは日本語学習の進行によって変化していくのか、データ収集方法による比較、日本語母語話者との比較も含めて考察する。 (2)上記(1)を発展させ、自動化された知識を問う実験をデザインし、日本語母語話者及び学習者を対象に予備実験を行う。 (3)上記(1)(2)で得られた成果について、日本語教育学会、台湾日本語教育学会等において口頭発表を行う。また、その際に得たコメントをもとに論文発表を行う。 (4) 研究成果は報告書にまとめるとともに、その概要をホームページを通して一般に公開する。ホームページへは、日本語だけでなく中国語・英語でも記載をし、日本語学習者・日本語教育関係者への成果の還元を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)