2011 Fiscal Year Research-status Report
口頭発表における質疑応答コミュニケーション能力の養成に関する基礎的研究
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23520609
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
仁科 浩美 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10431644)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アカデミック・ジャパニーズ / 質疑応答 / 口頭発表 / コミュニケーション・ストラテジー / コミュニケーション・ブレイクダウン |
Research Abstract |
本研究の目的は、アカデミックな口頭発表時の質疑応答コミュニケーションについてその問題点、及び、必要なコミュニケーションストラテジーや言語表現を明らかにし、コミュニケーション能力養成のための基礎的資料を構築することにある。今年度は研究1年目であることから、分析・検討を行なうための準備として、以下の3点を行なった。 まず、関連する研究分野の先行研究について文献調査を行なった。対象としたのは、コミュニケーション・ブレイクに関する研究、コミュニケーション・ストラテジーに関する研究、外国語を用いることに対する言語不安に関する研究、ダイアローグに関する研究、発表活動に関する日本語指導に関する研究、そして、既に市販されている教科書である。調査の結果、本研究で対象とするアカデミックな日本語使用の場面においては、未だ十分な分析が行なわれていないことがわかった。 次に、口頭発表者である大学院生の意識調査を3種実施した。一つは、日本人学生250名を主対象として実施した口頭発表の困難点に関する質問紙調査である。二つ目は、日本人博士課程に在籍する学生に対して行なったグループ面接である。三つ目は、24年度にまたがって留学生を主対象に行なっているPAC分析による調査である。23年度はデータ収集で時間切れとなったが、順次、文字起こしを進め、分析を進める予定である。 そして、平成23年度の最も外せない活動に、8月と2月の修士論文発表会での口頭発表及び質疑応答のデータ収集があったが、理工系分野の専攻に協力を得ることができ、20名のデータを収集することができた。さらに、本人による発表時のビデオ視聴を介した刺激回想法による意識についても調査を行なった。 以上、平成23年度は、本格的に分析を始める平成24年度に向けて必要となる関連分野の情報の整理、及び、データ収集を中心に研究を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度については、計画していた文献調査、質疑応答の行動に関わる意識調査、質疑応答場面のデータ収集の三つを予定どおり実施することができた。文献調査について23年度は日本国内の研究状況の確認が主だったため、平成24年度は海外における文献を収集し、現時点での全体像を整理する。質疑応答の行動に関わる意識調査については、現在、調査した回答用紙を電子データの形に入力を終えたところである。今後は、困難点を過去の調査結果との検証も含め、因子分析による分析を行なう予定である。質疑応答場面のデータ収集については、協力の依頼説明や同意書の依頼に少々時間を要したが、協力の理解を得ることができ、無事データを収集することができた。 本研究の目的は、口頭発表時の質疑応答コミュニケーション能力を養成するための第一段階として基礎資料を構築することにある。平成23年度はその根底部分をなすデータを得ることを目標としており、これについては概ね達成できたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究成果を受け、平成24年度以降は計画通り、収集したデータの分析・検討の段階に進んでいく。具体的には、以下のように推進する。(1)口頭発表時の意識に関する調査結果の分析…量的な質問紙調査に関しては、因子分析を行い、根底にある困難点を明らかにする。また、PAC分析については、調査協力者が発した音声データを文字データに電子化する作業を経て、調査協力者の心の根底にある質疑応答時の困難点を日本人学生及び留学生の場合に分け、分析する。分析した結果を整理し、発表を行なう。(2)実態の分析…平成23年度に収集した修士論文発表会での質疑応答時の録音・録画データを文字起こしし、電子データ化する。さらに、刺激回想法により収集された協力者の録音・録画データも文字起こしをし、電子データ化する。これらの文字化資料及び録画データを併せて用いながら、コミュニケーション・ブレイク場面、コミュニケーション・ストラテジー場面について分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の使用計画は以下の通りである。直接経費 600,000円 (内訳)物品費 50,000円(図書・文房具等) 旅費 250,000円(学会発表旅費、研究会参加旅費) 人件費・謝金 300,000円(資料整理・文字化作業等)間接経費 180,000円
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