2011 Fiscal Year Research-status Report
認知言語学の概念<事態把握>と日本語教育ー韓国語母語学習者を対象にー
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23520612
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 安月子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90205550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姫野 伴子 明治大学, 国際日本学部, 教授 (00228751)
足立 さゆり 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70307106)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 対照言語研究 / 事態把握 / 教科書分析 |
Research Abstract |
本研究は、韓国語母語の日本語学習者が産出する日本語から現れる韓国語母語話者の<事態把握>の傾向を明らかにすること、さらに、研究第一段階で明らかになった中国語母語話者の事態把握の傾向と日本語母語話者のそれとを統合・相対化することでタイポロジカルな記述を行うことを最終目標とする。本年度は、以下のような研究活動を行った。(1)韓国で開発・出版された日本語専攻生対象の日本語教材の分析: 分析対象には韓国の大学で日本語主専攻生が使用するから6教材(計16冊)を選び、当該教材の日本語による表記部分から日本語の〈好まれる言い回し〉に関連する解説と例文を抽出し、データベース化した。それらの教材に見られる〈事態把握〉の傾向を分析した結果、日本語の好まれる言い回しを逸脱したものは極めて少ないことが分った。(2)〈事態把握〉の日韓対照の予備調査: 韓国語母語の日本語学習者が産出する日本語の〈好まれる言い回し〉の逸脱を予測するために、日本在住の韓国語母語上級学習者6名に面談調査を行い、実施済みの日中対照研究(科研課題番号19520445(H19-21))で使用した調査票に韓国語母語話者対象とした修正を加え、予備調査原案とした。次に、この予備調査票を用いて、日本語母語話者114名、日本在住の中国語母語日本語学習者74名を対象に、2012年1月に予備調査を実施した。この結果をデータベース化し、統計処理をして有意差がある項目を特定し、平成24年度に実施予定の本調査の基礎資料を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教科書分析及び予備調査を実施し、データベース化と統計処理をおおむね終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
統計処理および翻訳の最終成果物の提出が予定より1か月遅れて平成24年4月になったため、平成23年度中の謝金支払いができず、平成24年度に会計処理する必要が生じた。また、そのために研究協力者(専門家)の助言を得るための韓国出張も平成24年度に繰り越した。 平成24年度には、予備調査の結果に基づいて専門家と協議し、その助言に基づいて調査票を微調整したうえで、本調査を韓国で実施する。本調査は、約300名の日本語主専攻の学習者(初級修了程度)を対象に、研究代表者及び分担者が現地に赴いて実施する。本調査の結果は、データベース化し、統計解析・翻訳を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備調査の結果に基づいて専門家と協議するための外国出張(300,000円)、成果発表のための国内出張(240,000円)、本調査実施のための海外出張(300,000円)を計画している。 予備調査のデータ入力、データベース作成・解析謝金および翻訳謝金(500,000円)、本調査実施のための海外協力者謝金・複写費・郵送費等(500,000円)、本調査のデータ入力、データベース作成・解析謝金、翻訳謝金(500,000円)の支出を予定している。
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Research Products
(1 results)