2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本語母語話者と中国人日本語学習者の作文・独話・対話に見る接続詞使用の対照研究
Project/Area Number |
23520616
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石黒 圭 一橋大学, 国際教育センター, 教授 (40313449)
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Keywords | 接続表現 / 間投表現 / 日本語学習者 / 談話 / 独話 / ナラティブ / コーパス |
Research Abstract |
2013年度は、2011年度に作成した作文・独話・対話のコーパスを用い、接続表現と指示表現の二つで、2012年度に行った分析をさらに深めることができた。 日本語で独話(モノローグ)を行う場合、話し手は日本語で考えながら話す回路を脳内に作る必要がある。そのさい、話し手はオンラインで話しつづけなければならず、そのためには、接続表現で展開の計画性を示し、間投表現で計画の実現性を示することで、安定した産出が可能になる。その意味で、接続表現と間投表現は、独話で発話を産出するさいの車の両輪のようなものである。 接続表現について調査で明らかになったことは、以下の4点である。①全体としては、日本語のレベルが上がるにつれて接続表現の使用数とそのバリエーションが増えている。②映画と旅行では傾向に違いがみられ、旅行の場合は4年生の非留学経験者の接続表現の使用数が多い。③間投表現にくらべ、接続表現のほうがきちんと教えられているせいか、偏りが少ない。④母語による影響はあまり感じられない。 一方、間投表現について調査で明らかになったことは、以下の4点である。①間投表現全体の使用数は、レベルが上がると、がくんと少なくなる段階がある。②映画と旅行ではその段階が異なり、映画では日本語母語話者のみが少なく、母語話者かどうかが分かれ目となっているのにたいし、旅行では日本語母語話者にくわえて留学経験のある学習者も少なく、留学経験の有無が分かれ目となっている。③間投表現の使用数が、日本語のレベルが上がるとがくんと下がるのは、間投表現を使わなくても必要な内容や語形にアクセスできるようになるからであろう。④映画のほうが、使用数の減少する段階が遅く訪れるのは、旅行のような個人的な経験を語るほうが、映画のような視聴経験を語るよりも自分の言葉で語れ、楽だからであろう。
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