2011 Fiscal Year Research-status Report
ビジネスコミュニケーション能力育成のための日本語教材と評価方法の開発に関する研究
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23520620
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
近藤 彩 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (90377135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 孝卿 政策研究大学院大学, その他の研究科, 准教授 (30467063)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
日本及び海外(特にアジア諸国)の企業内外のコミュニケーション手段として日本語が使用されていることが多い中、さまざまな問題や摩擦が数多く生まれている。本研究では、その解決に向けてビジネス・コミュニケーションにおける問題点を抽出し、必要となる「ビジネス・コミュニケーション能力」について明らかにすることを第一の目的としている。そして第二の研究目的は、能力を育成するための教材開発と効果の検証、第三の研究目的はビジネス・コミュニケーション能力の評価ツールの開発である。23年度は以下の研究を行った。(1)ビジネス上の問題点と職務遂行の実態等に関するインタビューのデータから、ビジネス・コミュニケーション能力の分析を行った。製造業の営業とマーケティングにおいて必要となる能力を能力記述文(Can-Do-Statements)として整理し、それらの能力を教育現場で養成することができるよう、多様なタスクと語彙のリソース等を作成し『ビジネスコミュニケーションのための日本語』として発表した。(2)インタビュー分析の結果から事例(ケース)を集め、外国人にも使用が可能である「ケース活動」を考案し、教材の開発に取り組んでいる。一部を、シベリア日本研究・日本語教育シンポジウムにおいて招へい講演とワークショップで発表した。(3)職場で行われるさまざまな「評価」と個人の気づき、そして気づきがもたらす行動の変化とその促進化について、日本語教育学会で発表(パネルセッション)をした。(4)研究成果を地域(コミュニティー)に還元するために、日本語ボランティア養成実践講座(文化庁事業)で講演し、仕事で生じるさまざまな誤解や困難点を示し、日本人のふるまいの再考を促した。その他、日本語教育学会のビジネス日本語研究会を運営し、教師間等のネットワークづくりを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究(アジア地域におけるビジネス上の問題点)を反映させ『ビジネスコミュニケーションのための日本語』にまとめた点は大きな成果である。また、新たな教育方法であるケース活動を打ち出し、それに基づく教材の開発に着手した点でおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ビジネス上の問題点の解決を目指した教育方法の開発を、能力記述文とケース教材の作成を中心に進めていく予定である。さらに教育方法、特に教材の効果の検証を、実験授業やワークショップを行いながら推進していく予定である。ビジネス・コミュニケーション能力の評価方法をについては、特定分野において課題遂行、問題発見解決、異文化理解の観点から口頭表現能力の評価基準を検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
名古屋で開催される世界日本語教育研究大会で「ビジネス日本語の新たな学習デザイン」というパネルディスカッションを企画した。これまでの成果を研究分担者の金氏と3名の協力者とともに発表し、今後の方向性について検討を行う予定。その旅費に充てる。収集したデータの文字起こしと、開発した教材を使い実験授業を行う際の調査対象者へ支払う謝金等に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)